ビター・オア・スイート?の番外です。
読んでいない方は読んでからどうぞ!!
―天国と地獄のハザマで。
(本編#28の番外)
チッチッチッチッ・・・・
小さな音なのはわかってはいるが、
何故か耳に大きく響く時計の音。
「・・・・・はぁ〜・・・」
そんな中、アスランは深く深く。
・・・それはもう深く溜息を吐く。
いつも寝ている自分の部屋だけど、
今日はまるで異世界に感じるくらい一変している。
そして、その原因は
言わずとも解る。
・・・この俺の隣にすやすやと
寝息を立てて、寝ている自分の婚約者。
・・・・・・・・・・ご丁寧に
俺にしっかり抱きついている。
いや、別に嫌なわけじゃない。
全く嫌なわけじゃないんだ!!
寧ろかなり嬉しい!!
そう・・・これがベッドの中でなければ・・・。
「ん〜・・・・・」
ごろんっ
が寝返りをうったのか
俺からの腕が離れる。
それにはちょっと寂しかったが、
ほっとして俺も寝返りを打つ。
・・・それがいけなかったんだ。
今まで、が抱きついているから
色々抑えるために後ろを向いていた為
の顔を見ずにすんだ。
・・・なのに、馬鹿な俺は
向いてしまったから・・・。
「・・・・・・・・・・・っ」
そこには、愛しい愛しい愛しい・・・(省略)
彼女のあどけない顔があって・・・。
起きている時よりか、
本当に子供っぽくって。
睫の影とか、さらさらと顔にかかっている髪とか。
いつも凝視する事のない
ものがそこにある。(普通は何も凝視しない。)
(・・・か・・・可愛い・・・・ッ)
アスランは一人悶えていた。
いつも、じっと見ると恥ずかしがって
顔を逸らすが(それも可愛いけど)
見放題!!
まるで天国のようだった。
しかし、そんなもの最初だけで、
次に襲ってくるのは
理性との戦いという名の地獄だった。
やっぱり、なんだかんだ言って俺だって男ですから、
にある程度は求めちゃうわけで。
・・・・・しかも、明日結婚する相手。
そういう事したって
何も問題はないんだ。
・・・そう思うと抑えきれなくなってくる。
目の前の少女に激しく触りたい。
しかし、それは自分で許しがたいことで・・・。
まるで
蛇の生殺しのような心境だ・・・・・。
・・・・だけど、目の前で
無防備に寝ている彼女を見ると。
そういう自分に嫌気が差す。
好きだから完全に自分のものに
したい・・・という思いと、
好きだから嫌われたくない・・・
という思いが交差する。
なんだか、本当に・・・・・・・・・・
「・・・・・切ない。」
アスランは寂しくそう呟いた。
「・・・・・・・〜ん・・・アス・・・・」
びくっ
思わず体が後ずさる。
が起きたかと
心配したが、どうやらそれは大丈夫らしい。
「アス・・・・リャン・・・・」
「!?・・・・・・」
アスランは驚いてを
覗き込むが・・・
「・・・・・むぅ〜・・・・・・」
「・・寝言・・か?」
思わずほっと胸をなでおろす。
「・・・・・タキシードが・・・はん・・・ざい的に・・・
かっこ・・・いいょぅ・・・・・襲われない・・・よぅ・・気を・・つけて・・ね・・・」
「・・・・・・・・なんだそれ?」
ぷっ
の変な寝言にアスランは
吹き出す。
一体、どんな夢を見てるんだか。
とりあえず・・・・
「・・・・・そこに俺は居るんだな。」
アスランは嬉しそうに笑いながら
の顔にかかった髪を撫で上げる。
すると、薄くにやり・・とは
笑った。
それは結構不気味な笑いだったが、
アスラン曰く、
(・・・可愛い奴・・・vvv)
らしい。
恋は盲目とは本当に真実めいてる。
「・・・・ねぇ?・・これくらいなら・・・
許してくれるよな・・・?」
誰に言うとでもなく、
自分で呟き・・・・・
軽くの唇に触れるだけの
キスをした。
それと同時にが
少し唸ったから、
起きたのかとびくっとしたが
一度眠ったらなかなか起きないタイプらしく
すやすやと寝息を立てている。
それに胸を撫で下ろし、
自分もそろそろ寝ようと試みたが・・・・・・・・・・・・
(ね・・・・眠れない・・・ッ)
・・・そう、先程少し手を出した為、
さらに理性との戦いに分が悪くなってしまったのだ。
の流れる髪を見れば
触りたくなり、手を伸ばそうとするが・・・・
(駄目だ駄目!俺、我慢しろ!!)
自分の頭をぽかぽかと
アスランは叩く。
そして、深呼吸して・・・
しばらくすると、に目がいき・・・・・・・・・・
・・・そうして、
かーなーりしんどい夜を過ごすのだった。
天国と地獄とハザマで(終)
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
結婚前夜、彼はこんなにしんどい夜を
過ごしていたわけです(笑)
あぁ・・もっと、アスランを可愛く書きたかったなぁ・・・。
私の文才ではこの程度だと
いう事がひしひしと・・・・っ
とりあえず、かなり頑張っています。
彼。(笑)
2006/03/27 惶月 奏(おうづきかなで)