俺は、彼女に恋をした。

それも一目惚れだ。

いや・・・正確には、二回目に彼女の
姿を見たときに恋に落ちた。


気が付いたら、

もう君しか見えなくなっていた。



F
OLLING LOVE TO YOU











!好きだ!付き合ってくれ!!」


「拒否!!」



がやがやがや・・・・

歳若きクルーの多いヴィサリウス内の
食堂はいつもにぎやかだ。

しかし、その中でも一層
にぎやかな場所があった。




!いい加減素直になったらどうだ!?」

「アスラン!あんたもいい加減にしなさいよね!!
ーーっか、当然の如く私の目の前に座らないで!!」

食堂に入ってきてから座るまで、
ノンストップで言い合いをする男女。

アカデミートップ赤服、アスラン・ザラと
ギリギリ赤服(つまり、10位)のだ。



「お金持ちの坊ちゃんは坊ちゃんらしく、
同じ系統の奴らのところに行きなさいよ!」

!それは差別だぞ!
・・というか、俺はと食べたいんだ!!」

ってか
むしろを食べたい!!・・・とアスランが
ほざいた瞬間、の使っていたナイフが飛んできた。

もちろん、腐ってもアスランはアカデミートップ。
ナイフの柄のほうを見事に掴んだ。


・・危ないだろう?
・・まぁ、
使用済み(ここ重要)ナイフが手に入ったから
よしとするが。」

「ナイフ返せーーーーーーーーー!!!」



天下のヴィサリウス内で行われている
会話とは全く思えない会話をする二人。

実はこれ、日常茶飯事なんです。


そう、二人が初めて出会った
ヴィサリウス搭乗時から。

そこからだ。
アスランの人格が崩れ始めたのは。


「・・・・だいたい、何で
あんたは私にこだわるのよ」

は目の前のアスラン相手に
げんなりし、気になっていた事を質問する。

確かにはトップ10に入るほど
優秀だ。

しかし今年度の卒業生は、アスランたちが
ずば抜けていただけで、他はそうでもなかった為に
入れただけだ。

しかも他にも女の子はいた。

それも超美麗で、超お嬢様な。

好きになるなら、間違いなく
そっちだろう。

私はお世辞にも可愛いとは言えないし、
お嬢でもない。

しかも、こいつの元婚約者は
あのラクス・クラインだ。

しかし、アスランがヴィサリウスに搭乗した一ヵ月後に
婚約破棄した。原因はどう考えてもこいつの人格の
あり方が間違っているからだろう。


アスランが私にここまで付きまとう
のは世界の七不思議に入ってしまうくらい
不思議なのだ。

「で?理由は何なのよ?」

私は出来る限りおとなしくしていた
つもりだし、

理由はない・・・はずだ。


「ん?そうか。いいだろう。
あの出来事は俺の
トップメモリー1位に属するが、
誰でもないの頼みだ。」


いや、
誰も頼んでねーし!

ってか、そんなトップメモリーなんて
重いから、
むしろ話してほしくないんですけどっっ!!



「いや・・やっぱりいい・・・・」

「あれは、俺達がここに配属になった
日のことだ。」

「え!?・・ちょっと待ってよ!
勝手に回想入らないでよ!!」

が必死に止める中、
アスランは口を動かし続ける。

そして感情たっぷりに
回想を始めた。





そう、あれは・・・・

俺達がアカデミーを卒業し、
散り散りに色々な部隊に所属になった日。

いわば、初出勤の日だ。


兵士を養成するアカデミーは、
一つではない。

全プラントから見れば
数は多くないが、各地域に散らばっている。

そして卒業テストだけが統一されており、
その中からトップ10が選出される。

それゆえに、初めて見る赤服も
多かったりするし、

緑に関しちゃ、同僚といえど、
把握しきれない。



俺とイザークと二コルとディアッカ、
そしてラスティーは、

数あるアカデミーの中でも一番優秀だと
言われる中心プラントの同じアカデミー卒だった。


だから、赤服といってもと会ったのは
クルーゼ隊に所属になってからだ。


その隊にいる赤服だけを集められ
説明会が行われた日、

初めて彼女の存在を知った。



「よろしい、では次・・・
自己紹介を。」

俺達の教育係であるアデス艦長が
自己紹介を促し、最後にの番が回った。


「はい。」

彼女以外は男だと言うのに、
(しかも、アカデミーじゃあ、アイドル並の
人気者ばかりだ)

彼女は媚びる様子もなく、
また、友好的でもなく・・・・・。

無表情で自己紹介を簡潔に紡いだ。


です。皆さんの足を引っ張らないよう、
精一杯やらせていただきます。よろしくお願いします。」

言葉の内容も当たり障りのない
ものだった。

イザークでさえ、嫌味を言える
箇所が見つからないようだった。
(同じ赤に、しかもクルーゼ隊に女が居ると聞いたとき、
すごい馬鹿にしていた。)



普通に目立ちもせず、また地味すぎて
目立ちもしない

空気のような彼女に・・・・

いや、そう意図的に見せかけている彼女に
俺は少々興味を抱いた。


そして、その日の夕方、
俺は慣れない艦内を視察していた。

その時・・、初日から使う者のいない
シュミレーション室にあの・・

”空気の彼女”がいた。

シュミレーションだというのに
気迫・・というか、殺気さえ感じさせる彼女に、
俺は部屋の中へ入るのを躊躇した。


〜。もう終わろうよ。
初日からこんなに訓練する人なんていないって!」

部屋の中で、シュミレーション中の彼女に
話しかける緑服の少女。

その子にシュミレーションを中断させられた
というのに、彼女は微笑を浮かべる。


「だからだよ?私ね、他の赤服たちの人とは
雲泥の差なの。足を引っ張りたくないのよ。」

彼女は中断され、敗北したシュミレーション画面を
オプションへと戻す。

「だけど、だって凄いよ?
それに、女の子なんだし・・解ってくれるって。」

緑服の少女にそう諭されるが、
彼女はまっすぐに彼女を見詰め、

「ごめん、言葉が悪かったかな。
私、馬鹿にされるの大嫌いなんだよね。
・・・だから、ただの自己満足。」

それだけ言って、勝気な笑顔をみせ、
またシュミレーションを再開した。

それに、緑服の少女は、
呆れたように溜息を吐き、

休憩用のベンチへと腰を下ろし、
伏せられていたコミックを読み始めた。




その瞬間だ。

そう、まさにその瞬間。

彼女の言動、笑顔、思考、姿勢・・・・
まさに、存在の全てに恋に落ちた。



全てに惹かれた。

もっと・・・もっと彼女の事が知りたい。

彼女の一番近くにいたい。


世界が急に色を変えた。

『恋なんてくだらない。』
そう思っていた自分が崩れた。


何もかもが否定され・・・
それに甘んじている自分が居る。


それからだ。

俺の全てが彼女を中心に回りだしたのは。



だから、すぐにラクスとの婚約を破棄した。

もちろん色々問題はあるから、
一ヶ月くらいかかったけれど。







「・・・解ってくれた?俺達の馴れ初め。」

思いっきり自分の頭の中に
トリップしていたアスランが帰ってきた。

にとっては目から鱗!!
というような内容だった。

色々な意味で。


「いや、
あんた一方的に会ってるだけだし。
ーーーーーーって!婚約破棄・・って・・・」

「そう、俺のへの
愛の証v

「・・・・・」

「いい加減、俺と付き合えよ。
俺の本気度、解っただろ?」

「・・・・・・・・・っっ!」

「な?」

「・・・・・冗談じゃない!!
誰が騙されるかぁーーーー!!」


がっ!!

ばしゅっ!!

真っ赤になって叫ぶや
否や、

は勢い良く空になった
トレイを持ち、

まるでミサイルのように
ダッシュし、アスランの元から離れていった。


そんなをアスランは呆然と
見上げていたが、


「やれやれ、困ったお姫様だ。」

と自分のトレイを持ち、
の方へとゆっくり歩いていく。


「だけど”信じられない”って言う理由・・・
いつまで続くかな。」

そう、今信じられないのなら
信じられるまで追いかければいいだけ。

その時に・・彼女が
どんな言い訳をしてくるのか・・

不本意ながら
とても楽しみだ。


だけど最終的には、
なんとしても手に入れる。

いや、手に入れることは
決まっているのだ。

だって・・・・・



彼女こそ、必然的に出会った

俺の世界なのだから。













― end ―


****+****+****+****+****+****+


彼女に恋したからこそ、
人格を失ったアスラン・・・。

人格を失った変態だからこそ、
ヒロインは信用できないのです。

悲しいね。

とりあえず、アホ話ということに
変わりはなくってよ。
(自分で何を言っているのか解らなくなっています。)



ですがっ!!
私の理想のアスランを書いてみました。

こう・・一途に思われてみたい!・・・と。
(やりすぎな感はありますが。)

気に入ってくださると嬉しいですが・・、
・・・・次回頑張ります!!







       2007/01/19
更新日  2007/05/02  惶月 奏(おうづきかなで)