*連載ビター・オア・スイート?の番外編です。
  一応そちらを読まなくても読めるようにはなってる(?)と思われます。





神様なんて信じちゃいないし、

ましてや記念日や、イベントごとにも
なにか楽しみがなければ極力やりたくない。(特にメンドイことは)


・・・そんな少し歪んだ私ですが、


今日ばかりは神様に
感謝しなきゃいけないと思うんです。


今日は、365日のうちで一番
大切な日。


10月29日。


私のスイートダーリンの
ご生誕日でございます。














This night is Bitter or Sweet?
【今夜は苦い?それとも甘いかしら?】
















「ん〜〜〜〜〜っ」


は小さく唸りながら
カリカリとメモに何かを書き込んでいく。




” 飾りつけ
  
  ケーキ作り

  料理(とりあえずロールキャベツと・・・
      七面鳥?・・あれ?なんか違う気がする)

  プレゼント・・・・プレゼント?・・・プレゼント                ”




メモには色々書き込んである。

プレゼントのところは特に
悩んだ跡が見える。

メモから解るように、
なんと明日はアスランの誕生日なのだ。





「・・・まずい・・・っ」


はメモを見詰めながら呟く。

そう、前日にも関わらず
計画を今立てているのだ。


もちろん、アスランの誕生日だなぁ〜っていうのは
10月に入ったくらいから思ってはいた。

しかし、『夏休み最終日にしか宿題をする気が
起きない』という心理で、

アスランの誕生日も切羽詰った
10月28日・・・つまり今日まで放置だったというわけだ。



「・・・料理系統はなんとかなるとしても・・・
問題はプレゼントよね・・・」


どうせあげるなら、喜んでもらえるものがいい。

は眉を潜めて、
アスランの好きなものを張り巡らせる。

・・・・工具?部品?
使うけど・・・使ったら跡形もなくなるし・・・

何より・・・なんか苦笑いされるのが
目に見えている。


いっそのこと、アスランみたいに
マイクロユニット作ってみる?

・・・いやいやいや!
無理だから!しかも明日だし!!


・・・・かといって、世間一般の人のように
ブランド品や、アクセサリー等も彼には、
ふさわしくない気がする。



・・・・・・育毛剤?

いや!待って!!私!!!
それは新妻としてどうかと思うわ!!

それに、まだ全然ふさふさしてるし!!
いや”まだ”とか言っちゃいけないわよ!!自分!!


多分、大丈夫よ!!(ソレもどうかと思われる。)


・・・・キラが『剥げる、剥げる』言うから
変な考えが出てきたじゃない。



「ん〜〜〜〜〜〜っ」

は机と睨めっこするように
低く唸る。


”認めたくないっっ!!”

ぴょんっ

視界の端っこにぴょンぴょン跳ねている
ピンク色の球体が写る。

そちらに視界を移すと、
ピンクのハロがピコピコと目を点滅させていた。



「本当・・・・『認めたくない』わね。アスランが剥げるとか。
・・・って違ぁう!!」

は話が脱線している事に
気づき、慌てて頭を振る。

それにあわせて、ハロもくるくると
回った。


「・・・・本当・・アスランって器用よね・・・
まぁ、量産された時にはびっくりしたけど・・・」

は何かを歌っているハロを
見ながら遠い目で呟いた。


アスランと結婚して、すぐの事だ。

アスランの実家に言った時、
アスランが、このピンクハロを私に見せてくれ、

あまりに珍しかった私は
『可愛い!』『すごい!』と
アスランをべた褒めしてしまったのだ。


・・・・私って結構アスラン惚れられて
いたらしく、

私を喜ばせる為に、
アスランはハロを量産しだした。


今やそれらは私によって
強制終了され、押入れの奥に眠っている。
(さすがに、あの寂しそうなアスランを目の前に
第一号のピンクまで強制終了はできなかったが。)


はその時のことを思い出し、
重く溜息を吐いた。

ピンクハロは見詰められているのに
気が付いたのか

の方に頭をぱたぱたさせながら
近づいてくる。

は手を伸ばし、
頭を撫でてやった。

「でも・・・ハロってなかなかファンシーよね。
アスランこういうのが好きなのかしら?」


(ぷぷっ・・外見はクールな二枚目なのにねぇ〜)

はちょっとしたギャップに小さく笑ったが・・・


「!」

ぴんっ!!

その瞬間いいアイディアが
の頭に駆け巡った。


アスランは今、仕事でイギリスに行っている。

私を連れて行くといって聞かなかったが、
たかだか3日だし(アスランが無理やり縮めた。)

私には学校があるので
付いていかなかったのだ。

しかし、29日の夜には絶対に帰ると
豪語していたのを考えると・・・

「やっぱり祝ってほしいのよね・・・」

そのためには、アスランの喜ぶ
プレゼントは必須だ。


そして、アレはとても理想的!!

だが、アレのためには
時間は果てしなくない。


は薄手のコートを羽織り、
慌しく家を後にした。















ー・・・?」


7時過ぎ。

もう秋も終りに差し掛かっているためか
外は大分暗い。

それなのに、急いで戻ってきた愛しの我が家は
何故か暗い。


「・・・・いないのか?」

アスランはそんな事を呟きながら
二階に直接上がり、と自分の部屋へと足を運ぶ。


ガチャ。

しかし、そこには
誰もおらず・・・



「・・・・・・・・・・・」

その事実にアスランは
なんだか物悲しい気分になった。


一日と離れたくないほど
愛している新妻との3日ぶりの対面。

しかも、今日はアスランの誕生日。


(・・・現金に期待してた俺が
悪いんだ・・・)


そうだ、

が自分の誕生日を知っているかどうかも
怪しい。

まだまだ俺達には知らない
事も多いから。



アスランはネガティブになっている
神経にカツをいれ、

リビングへと向かった。


もちろん、そこも真っ暗であり・・・


(それにしても・・・どこに行ったんだろう?)


そんなことを思いながら
手探りで電気のボタンを探す。

パチッ

ボタンを押したのと同時に、
広いリビングが照らされる。


「!」

アスランは、いつもとは違うリビングに
目を見開いた。


テーブルには手作りであろうケーキと(なんか巨大だ。)
ロールキャベツ・・と七面鳥・・?(なんか違う気が・・・)

それからポタージュスープに、オムライス(これも巨大。)
それにサラダ・・・とその他もろもろ。

あと、可愛い形のクッキーたち。

菓子の皿なども
こころせましと並んでいる。


(・・・・絶対二人じゃ食べきれないだろう・・・。)



そして・・・・・・・

その傍らのソファーには

あきらかに疲労からの睡眠に
ついている人物。

口をぽかんと開けて、
間抜け顔で眠っている。

それにアスランは苦笑し、
そちらへと足を向ける。


「・・・・・ただいま、。」

アスランは愛おしげにそう小さく呟くと、
膝を地面につけ、の頬に軽くキスを落とした。

随分長く寝ているのか、
の頬は冷たかったが、

アスランの気持ちは大分落ち着き、
先程の荒んだような冷たい心は暖かくなった。


アスランはの冷たい頬を摩る。

頬に感じた暖かさで目が覚めたのか、
はゆっくりと瞳を開いた。


「・・・・ん・・・?」

「・・・ただいま、
ちゃんと土産買って来たぞ。」


目の前に広がった画像と、ふいに聴こえた声に、
はがっと瞳を見開き、物凄い速さで跳ね起きる。

「あ・・アスラン!?・・なんで・・・
って・・・えぇええ!?もう7時!?」

時計を見て、面白いほどにうろたえる
にアスランは笑った。

「随分寝ていたんだな・・・?
だが、準備はもう終わってるんだろう?」

「・・・・一応ね。・・・だけど玄関で『お帰りなさいv
ダーリンv』って言ってキスする計画は消えたわ。」

そのセリフには、アスランもぴくりっと
肩を揺らした。

からかう目的以外では、
あまり甘えてきてくれない彼女だ。

そんなのメチャされたい・・・・!!(待て)


「・・・・・・・・それは明日してよ。
ってか、毎日でも・・・」

「やだなぁ。希少価値が高いからいいんじゃない!」

しかし、無常にも却下されてしまった。


「・・・・・・・希少価値なんていらない・・・。」


きゃらきゃらと笑うに、
アスランは肩を落として呟いた。



「あ!そうだそうだ!!
アスラン、プレゼント期待していいよ!!」

そんなアスランなどなんのその。

はとっておきのプレゼントの存在を
思い出し、キラキラとした瞳を輝かせる。


そんなは珍しく、


アスランはが、自分のプレゼントを選ぶとしたら
絶対に困ると考えていただけに、

少なからず驚いた。


「思いついた自分に乾杯!だね!!」

(・・・そんなに名案なのか?)


「もう、好きなだけ触っていいから!!」

(さわ・・・っ!?)


「ってか、抱き締めていいよ!そのためのプレゼントだし!」

(抱き締める!?)


「あ!いっその事、寝室に常備して・・・」

「うあああああああああああああ!!!!!」

のあまりの発言集に、居た堪れなくなったアスランは
の言葉を遮るように叫んだ。


「!?」

そんなアスランの急な行動に驚いたのか、
は瞳をぱちくりさせた。


「・・・そっ・・・それはある意味・・っていうか
相当男のロマンだけど・・・現に言われると・・・・
すさまじく照れるというか・・・!」

「は?」

「あ!でも凄く嬉しい!!
は絶対にそんなこと言ってくれないと
思ってただけに、驚いちゃったけど・・・・・」

「え?」

「・・・・・今夜は、す、好きなだけ・・・
していいってことだよな!?」

「・・・・・・・」

「じゃ・・・今すぐにでも・・・」

頬を紅潮させ、きらきらしていて且つ嬉しそうな様子の
アスランには瞳を半眼にさせた。


(この人・・・・乙女ちっくな勘違いするわね・・・)


どうやら、アスランは『私がプレゼントv』
みたいな事を思っているらしい。


んな、恥ずかしくて、痛くて、サムい事、

・・・・誰が言うか!!!ぼけぇ!!!


今にも襲い掛かってきそうな
アスランを目の前には溜息を吐く。


はすくっと立ち上がり、
キッチンに隠すように置いてあったものを
アスランへと投げつけた。


「!?」

すさまじいスピード投げつけられた
巨大な丸い物にアスランは怯むが、

さすが・・というべきか、
軽々とキャッチした。


それは包装紙が巻きつけてあり、
大きなリボンがしてある所を見ると、
プレゼントらしい。

持った感じは、予想外に軽く、
ふわふわしていた。

しかし、大きい。
アスランの上半身弱・・くらいの大きさだ。



「・・・?・・・これ・・・」

ぽかんと見上げてくる
アスランにはにっこりと微笑む。


「心の篭った名案プレゼントだよv
好きなだけ触って、抱き締めて、一緒に寝て
いいからねvvv」

「!!!!!!」

アスランはの言葉に瞳を見開き、
慌ててラッピングを剥がす。

・・すると、そこには・・・


「巨大ハロ・・・・・の
クッション・・・・。」

アスランは呆然と呟く。

目の前にあるのはピンク色の
巨大ハロクッション。

今流行の触り心地のいい
ビーズを綿代わりに使っているのか、

とても気持ちがいい。


成程。とても名案だ。



しかし・・・・・

アスランはハロを抱き締め、
顔を埋める。

自分の勘違いが恥ずかしく、
しかし、それ以上にガッカリし、

それからそれから・・・・

とにかく、とても複雑なのだ。



しょんぼりとして、ハロクッションを抱き締めている
アスランを見て、さすがに可哀相になったのか、
(その考え自体が既にアスランが可哀相である。)

は溜息を吐く。


「それね、相当頑張って作ったの。
オーダーメイドで作ってくれるところに殴り込みしてね、
色々教えてもらったのよ。・・・・さすがに、徹夜はきつかったわ。」

「うん・・・ありがとう・・・嬉しいよ。」

アスランはハロクッションに顔を
埋めたまま、そう呟く。

それは本心だろうが、
言葉が棒読みである。


(・・・・はぁ〜・・・アスランはへこむと
浮上するまでが長いからなぁ・・・・)

仕方ない、とばかりに
座り込んでいるアスランを覗き込み、

とんとんと、クッションを軽くノックする。

「アスラン、アスラン。」

「ん〜・・・」


しかし、クッションから顔を上げようとはしない。


「私をプレゼントって・・・
そんな事する必要ないでしょう?」

「?」

「もう、とっくの昔に私は
アスランのものじゃないの。」

「!!!!!」


そのセリフに、アスランは即効で
クッションから頭を上げた。

そして、その反動を利用し、目の前にいた
を押し倒す。


「本当か・・・・?」

驚いた表情のアスランが
そう問いかけてくる。

瞳は嬉しさの色で
いっぱいなだけに、

はアスランを払いのけずに
苦笑いを浮かべた。

「本当本当。」

「・・・・っ!・・・・じゃあ・・・いい?」

「いいよ。」

「!」


珍しい即答の了解にアスランは、
ぱぁっと輝かせてに顔を近づけるが・・・・


ピンポーン☆


玄関から無常に流れる
来客を示すチャイム。


「あ・・・キラ呼んでたんだったわ。」

「え゙・・・・っ」


焦る事もなくはそれだけ単調に
告げると、アスランをひっぺはがし、

玄関へと足を向けるが
振り返り、

まだ呆然としているアスランに
はさらに追い討ちをかける。


「あ、それからお義父様とお義母様も
お呼びしてあるから。・・・きっと、今夜は
お泊りになるんじゃないかしら?」


「・・・・・・っっ!!
!!さっきの即答は絶対にできないって
解ってたからだろ!!!」

のむごい策略にアスランは
を睨みつけるが、

一方のはしれっとした表情で
にやっと笑う。


「・・・なんのこと?
、全然わっかんな〜〜いっ☆」

「!!!」


それだけは告げると、
さっさと玄関へと姿を消した。

それに、アスランは自分が完敗した
事実が不動のものとなったことに気づき、

傍らにあった巨大ハロをしくしくと抱き締めた。










(・・・・・・3日間、連絡一つよこさなかったバツよ。)

は玄関に手をかけ、そんなことを思う。


忙しかったのは解っている。

というか、私のためにハードなスケジュールを
一週間から、さらに三日に縮めたのだ。

忙しすぎる事くらい解っている。


だが、送ったメールくらい返してほしい。

心配になる。

体壊してないかな、とか。

無理してないかな、とか。

もしかしたら、交通事故!?とか。



忙しいなら忙しいで『ごめん、今忙しいんだ。』
くらいメールしてほしい。
(秘書の人に連絡すれば安否の確認は出来たけど。)



心配だったし、寂しかった。



・・・・・・これくらい、可愛い仕返しよね?


















「あ〜スラン、お義母様達、帰られたよー・・・
って・・・寝てるし・・」

さすがに疲れているのか、
アスランはハロを枕にして眠っていた。

そういえば、拗ねたように
パーティーの間、始終ハロを離さなかった。

(まぁ・・・気に入ってはくれたみたいね。)


つんつん

寝こけているアスランの頬を軽くつつく。

男の癖にすべすべだ。
・・・・そして寝顔は相当可愛い。

これが、我が夫だと思うと、
自分って本当幸せ者だなって思う。


「ふふふっ・・・ばっかあすらーーーんっ」

笑いながらそう耳元で囁いてみるが、
びくともしない。

これは本格的に寝入っている。


「本当は今夜いちゃつくつもりで、皆をちゃんと帰すつもりだった・・・
なんて明日の朝言ったら・・・きっと、自分が寝たこと、相当後悔するでしょうね。」


想像にかたいアスランを思い浮かべ、
は笑いを深める。


「ま。とりあえず・・・・・」


アスランの頬に軽く口付けをし、


「お誕生日、おめでとう。・・・・来年もお祝いさせてね。」


それだけ、寝ているアスランに囁くと、
はパーティーの後片付けを始めた。






もちろん朝起きて、
から聞かされた事実に


アスランは予想通りの反応と後悔を
したことは言うまでもない。












*+o。*+o。*+o。*+o。*+o。*+o。*+o。*+o。*+o。*+o。*+o。*



HAPPY BIRTHDAY!



アスラン!!

愛してるよ〜〜〜vv(痛ッ)


今年もやってまいりました!
あすらんずばーすでい☆

このめんどくさがりサイトが絶対にする
イベントの一つ。アスランの誕生日です。


実はトップ絵とリンクしてたりします(笑)


とりあえず、私の中で、アスランは21歳に
なったということで。

早いですねー・・・月日が経つのは。


私は、痛い子なので、
アスランの誕生日を毎年加算して行きます。(笑)



とりあえずっ!はっぴーばぁすでぃ!






      2007/10/24  
更新日  2007/10/29   惶月 奏(おうづきかなで)