もちろん、仲間の恋を応援する・・というのは

とてもいいことだと思う。

だが、やりすぎ・・・・・というのは必ずしもいい結果は

導き出さないもので・・・・・・・・・。













愛しい君と、+A 















「アッスラン♪」


今日もヴィサリウス内に少女の声が響く。

呼ばれた少年はにっこりと微笑みながら
振り向く。


「おはよう、も今から朝食?」


「うんvv一緒にいこ?」



「・・・・・!・・・・あぁ・・・」


と本当に嬉しそうに微笑む少年・・・・・・・・・。


一般的に何も知らない人がその様子を見たなら
本当に微笑ましい光景だった。






が、しかし、

こちらを見(覗き見し)ている3人の少年達は違った。


「なぁ・・・・・・・・・・・あれはほっといてもくっつくと思うぞ?」

とディアッカ。

「だめです。なにかきっかけがなければあの二人は絶対に気づきません!!!!」


「・・・・・・・本当にやるのか?」


と少々青い顔のイザーク。


「もちろんです!!この前は惜しくも敗北でしたが今回こそは完璧です!!!!」


とまるで決闘でもしにいくような言葉を発する二コル。

だが、彼の目的は『とアスランをくっつける事!!』
・・・・というような本当は甘い理由なのだ。




「・・・・・・・・・でもさぁ・・・それやるのどうせ俺たちなんだろ・・・・。」

「・・・・・だろうな・・・」




と楽しそうに作戦を考える二コルとは対称的に
2人の少年は溜息をついた。





















「あ〜・・また、レーズンはいってる・・・・・。」

は朝食のトレーを見るなりげんなりと呟く。

、レーズン嫌いだっけ?」

と隣に座っているアスランがのトレーを覗き込む。





「・・・うん・・・・・・・だいたい、なんでぶどうを干すのよ!?意味わかんないよ!!」

「なんでって・・保存効くようにだろ?」

「・・・そうですけど。」


と真面目に切り返してくるアスランにはう〜と小さく唸る。


「・・?・・・そんなに嫌いなら、残せばいいじゃないか。」

とアスランは不思議そうにに言う。


「・・・ん・・・そうなんだけど・・・ほら、やっぱりこれ作るのにがんばってる人もいるわけだし・・・
食べたくても食べれない子もいるわけだしね・・・・。」


と苦笑いしながら、不意に息を止め

がぶっ!!!

とレーズンを口に放り込む。
そして、次の瞬間、勢いよく水を流し込む。



「・・・・・・・っはぁ・・・・はぁはぁ・・・・うーーーまだ味残ってる・・・・。」

は顔を歪める。

それをじっと見詰めるアスラン。


「・・・・・・・・・・・・何・・・・?」

「・・・・い・・いや、すごいな・・・と思って。」

と感心したように呟く。

「・・・・・・食べっぷりが?」

「そうじゃなくて。」

と真顔でそう返してくるにアスランは苦笑する。



「・・・・そういう風に深い所まで考えるのが・・・・すごいなって。」

「・・・そうかなぁ・・・。」

とイマイチすごいと言われても実感の沸かない
スプーンをくるくると回しながら考える。

「そうだよ。そういう所、のいい所だと思うぞ?・・・俺は好きだけど。」


ガッシャンッ

と不意にアスランが発した言葉にはスプーンを落とす。


「え・・・あっ・・ごめんっ!!」

は早鐘の如く鳴り出す心臓を押さえながら
落としたスプーンを拾う。

好きって・・・好きって・・・!!!

とそういう意味じゃないのはもちろん解っているが、
どぎまぎしてしまうのが乙女心ってヤツで。



「・・・?顔赤いけど・・・・大丈夫か?」

と,このニブチンは心配そうに顔を覗き込んでくる始末・・・・・。


(うわぁあっぁぁああああああ!!!!おっ・・・お願いだからそれ以上近づけないでぇええ!!)


というの心の叫びは届かず、
心配そうにアスランはの額に手をかざす。

「熱は・・・・・・・ないみたいだな・・・・・」


とアスランは安心したように呟く。
それとは対称的にの心情は瀕死寸前だった。


(あ・・・・・っ・・・アスランの手がぁぁああああああ!!!!!!)

と。

命の為に振り払いたいのは山々・・・・・だが。
アスランに触られる事なんて滅多にない。

・・・・・・・・そう考えると・・・・・・・・


(これで死んでもわが人生に悔い無し!!!!。逝きますッ!!!!)

とモビルスーツで出る時のような掛け声を
心の中で呟き、(いく所が違うが)
そのままの形で硬直する。


(・・・うっ・・・心臓・・・持たないよぉ・・・・だけどだけど密着してる!!私!!よかったね!!(涙))

の思考回路は爆発寸前だった。
・・・・というか、元から爆発しているような
思考回路だが、



やっぱり、アスランって女の子みたいな顔してるけど、
手大きいんだな・・・・

と自分の額にある手を神妙な面持ちで感じる。

『男の子』・・・・・と実感すると
ますます、顔が赤くなるのが自分でも解った。


「・・・え・・・・ッ!?本当に大丈・・・・・・」





ッ!」

と。そんな甘い時間はなかなか続かなく、(甘いか・・・?)
一人の少年によって終止符を打たれた。




「・・・・・・・・・・ディアッカ・・・・何?」

と突然の邪魔にの機嫌も
あからさまに悪くなる。

ディアッカはうっ・・・となりつつも
どこからか覗き見してるであろう、黒い二コルの顔を浮べ、





「・・・・・・・・・ちょっと、話があるんだけど・・・」

・・・・・とをここから連れ出す
二コルの作戦の第一段階を行う。


・・つまり、二コルの作戦とはこうだ。

二コル曰く、
前回の事でアスランは無意識に俺に対して
嫉妬の念を持っているらしい。(迷惑な話だぜ・・)

それを利用して、そのに対する気持ちに
気づかせる・・・・というのが今回の作戦な訳で・・・・・・・・・。


・・・どうでもいいが、俺が損な役・・・って事は変わらないわけで・・・・・。



「え〜・・・何・・・・?」

はあからさまに嫌そうな顔をする。

(俺だって、出来ればこんな事したくねぇよ!!!!だけど二コルが妙に怖いんだよ!!)

とディアッカは心の中で泣きつつも、
二コルに言われたとおりに

自信たっぷりな表情を崩さないように、何とかがんばった。




「・・いいから、ほら、部屋でケーキご馳走してやるから。」

と餌でをつる。

「・・・・・・・・う・・・、わかった・・・・アスラン、いってくるね。」

としぶしぶ席を立つ、
女の子は甘いものに弱いのです・・・・・・・。



「あっ、、先に俺の部屋行ってて・・・?」

「?・・・・・うん?」


はディアッカに言われたとおりに
食堂を後にする。

そして、アスランの方に向き、




二コルが考えた決め台詞・・・・・・・・・・・・。





は俺のだから、・・・・・・・・・・・邪魔するなよ。」



と自信たっぷりにディアッカは言う。



その言葉にアスランの表情が険しくなるのがわかった。
眉が顰められ、碧眼が鋭く光る。





(・・・マジで・・・・マジでこえーよ!!!!!!・・・俺、明日には命ないかも・・・・)

とディアッカは心の中で泣いていた。














ディアッカが決め台詞を残して
去った後、アスランは必死に考えていた。


・・・・アレは・・・どういうことだ・・・・・・?
つまり、ディアッカはが好きだ、と・・・・?

普段、こういうことに疎いアスランは
状況が飲み込めずに必死で考える。




そうなのか・・・知らなかった・・・・・・。





・・・・・・・だが、なんだこの苛立ちは・・・。





アスランは胸の辺りを押さえる。

なんだか、もやが掛かったように苦しいのだ。
それと同時にディアッカに対して
殺してやりたいほどの気持ちが沸き起こる。


「・・・・・・・・・っ!!!!」

なにが何だか解らない・・・・・。
本当に自分の感情なのかと、
必死で鎮めるように、アスランは目を瞑る。

そういえば、前にもこんな風に
なった事があった。

その時も、ディアッカに対してで、
が俺に対して無関心になった時だ。


・・・・・・・・・

まるで、キーワードのようにアスランの
胸に反響する。

その瞬間、無数に絡み合った糸が、
拍子抜けするほど、簡単に解けたような感覚がした。





もしかしたら・・・・・俺は・・・・・・・・・

いや、もしかしなくとも、

俺は好きなんだ・・・・・。

が・・・・・



言い表せないほど、すごく・・・・・・・・・・・・・。















「でも、大丈夫でしょうかね・・・・?」
「・・・・・・あぁ、全くだ。」


アスランが自分の気持ちに気づき、
呆けていると、

赤の軍服の・・・何とも珍しい組み合わせの2人組みが入ってきた。
銀髪の少年と黄緑の髪の少年。

二コルとイザークだ。





「・・・さん、無事だといいですけど・・・・・。」

二コルが不意に呟く。

その言葉にいち早く反応したのは
二コルと話していたイザークではなくアスランだった。


「なっ!!!二コル!!それはどういうことだ・・・・!?」

まるで食いかかるように
アスランは二コルに向かって叫ぶ。


こんな彼を見るのは初めてで、イザークは呆気とするが、
二コルは待ってました!!!とばかりに
演技力たっぷりに次の言葉を言う。


「あぁ・・・アスラン!!ディアッカが・・・・ディアッカが・・・・・・・・・!!!!」


「何っ!?」


と最後までアスランは聞かず、
血相を変えて食堂を飛び出す。











「・・・・・・部屋でさんとお茶してるんですよ〜vvvv
食べ過ぎなきゃいいですけどね〜って聞いてないですねvvv」


と自分の思惑が計算どうりにいき、
二コルは微笑みながらそう言う。

イザークはその瞬間、
二コルだけは・・・絶対に敵に回さないと誓った。

それと同時に災難が待っているであろうディアッカに
密かに手を合わせたのだった・・・・・・・・・・。

















「ふはぁvvvおっいしーvvvv」

一方、
はディアッカとイザークの部屋でケーキを頬張る。


「・・・・・・・・・・はぁ・・・・そうかよ・・・・」

とディアッカは気が気ではない・・・。
今日のシュミレーションは絶対、アスランと
当たらないようにしなければ、マジで戦死させられる・・・・・っ!!

という不安が胸の中に溢れているのだ。




しかし、今の所、何もなく平穏で、


(・・・・・まぁ、今くらいはのんびりしておこう・・・。)



とディアッカがケーキに手をのばしたとき、






バッシュッ!!!!!

とまるで無理やりこじ開けられたような
そんな音と共にドアが開く。


「えっ!!!・・・・アス・・・・ランッ???」

はドアからすごい形相で飛び込んできた
アスランに目を見開く。




「・・・・・・・・・・・っ」

ディアッカは顔から血の気が引いていくのを感じた・・・・・・・。

(・・・そうですか・・・ボクに平穏な日々は与えて下さらない訳ですネ・・・・二コル様・・・)




「・・・・・・アスラン?どう・・・・・したの?」

はいつもと
あまりに違うアスランに戸惑いながらも
声を掛ける。

その言葉にアスランは
はっとした。


「・・・・・・・・・え・・・・・・・あ」

やディアッカ、それから部屋を見回し、
どうやら、自分の早とちりだった事に気づく。

自分のあまりの想像に
アスランは恥ずかしくなり、口元を押さえた。


一刻も早くここから立ち去りたい衝動にアスランは駆られる。

だが、このままここにを置いて行きたくなくて、
の手を握り締め
外へと誘導する。


「へっ・・・!?あっ・・・・」

は初めてアスランから
握られた感触に頭が真っ白になる。



まぁ・・・とりあえず・・・・・


(ひゃっほいっ♪アスランからの類まれなるスキンシップだよ!!どうしよう・・
マジ・・・倒れてもいいですか・・?)


とかふざけたことを
思っていた。

いや・・・本人はマジなんですけども。



しかし、そんなとは
対称的にディアッカの体内温度は下がるばかりで・・・・・・・・・




「ディアッカ。」


「は・・・・はぃい。」

と情けなくもアスランの呼びかけに
ディアッカの声は上擦る。



「悪いけど・・・・・邪魔しないなんて出来ないから。」


と絶対零度の笑みを浮かべながら
ディアッカにそう告げる。

それは確定の念で、
どうやらへの気持ちに気づいた・・・
という事で作戦は成功しようだが・・・・・


その代わり、俺の命が磨り減ったような・・・・

・・・と思うのは気のせい・・・・・・・・・・・・・ではなく。






「・・・・・・・・嫌なら、奪うんだな・・・・・。」

アスランがふっと呟く。

「・・・・へ?」


「出来るものなら・・・・・・だが」

と黒いオーラを放ちながら
と共に部屋を後にする。



ストン・・・・

ディアッカは呆けたように
その場に座りこみ・・・・・・・


「・・・・・・黒いのをまた一人増やしちまった・・・・・・・。」

と激しく後悔した口調でぼんやりと声にした。























「・・・・・・あ・・・・あの・・・・・?アス・・・ラン?」


さっきから黙々との手を
引いたまま歩くアスランに

は居心地悪そうに声を掛ける。


何なんだろう・・・
こんなアスランを今までに見たことはない。
それに、ディアッカの部屋に入り込んできた時も
いつもの冷静さを失ってたし・・・・・・・・・。




。」

「へっ・・あ・・はいっ。」


突然の呼びかけに
は体を硬直させる。


「え・・・と・・・・あの・・・ごめん。」

アスランはの手を離し、
俯きながらそう呟く。



「・・・・・ごめん・・・急に連れ出したりして・・・・・・。」

「・・え・・いや・・別にいいよ!!気にしないで!」

は萎れるアスランにギョッとしながらそうフォローする。

(・・・っていうか、理由はわかんないけどアスランに
連れ出されたなんてロマンティクじゃない!!!)


・・・・とか不謹慎な考えは置いといて、



「・・・でも・・・・どうしたの?あんな急に・・・・・・?」


「・・・・・・っ」


その言葉にアスランの頬が赤くなる。

「?」

「・・・・い・・いいや・・・・・あの・・・・」

といつものキレもなにもなく、アスランは思いっきり上擦る。


「ん?」



「俺・・・あの・・・・・・」



「・・・・・・・の事・・・・・・」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・」








≪ピンポーンパンポーン♪♪
  連絡します、MSイージス機に不備があったもよう、イージス・パイロット、アスラン・ザラは
  至急、整備の確認をお願いします。繰り返します・・・・・・・・≫




・・・・・・と無常にも流れる艦内放送。






「あ・・・っ・・・・・ごめん・・・・俺・・・行かないと・・・・・」

「あ・・・・うん、いってらっしゃい、がんばってね!」



とアスランはほっとしたような、残念なような
複雑な気持ちに駆られた。


アスランは整備庫へと走り出すが、

不意に止まり



「・・・アスラン?」

「・・・・・後で・・・・絶対言うから・・・・・。」



の方を振り向かずに
そう搾り出す。


その顔は病気かと思うくらい真っ赤で・・・・
まぁ、は見えなかったけれども。


そして、火がついたように全力疾走で
アスランは走り出した。





「・・・・はや・・・・・・・」

はアスランを見送りながら呆然と呟いた。
















ガツンッ!!!

の後ろの方から
壁を叩く音が響く。


「・・・・っ!なんで・・・なんで、よりにもよってこんな時にイージスに不備が起こるんですかっ!!」

と二コルは悔しそうに唇を噛み締める。

それから何かをまたぶつぶつと言いながら壁を叩き続ける。

ガツン、ガツン、ガツン・・・・・

それは明からに負の念が篭っていて・・・・・・・・・・。



それを青い顔で見守る2人組・・・・・・。


その主従関係がはっきりした3人組・・・・・・・・・
・・・通称、デバガメ隊・・・・・・・・・。




「・・・・・今回の作戦は完璧だったのに・・・・・っ」

「ほら、でもアスラン、後で言うって・・・・・・」

とまた。作戦立てられては堪らないとディアッカは必死で言うが・・・・

「いいえ!!・・それはないです!!アスランのことだからきっかけというものが無ければ
絶対に流してしまいます!!!」

と何を根拠にと言いたくなるぐらいに
二コルは断言する。




「・・・・・・・・ふふふふふふふ、これは新しい作戦考えないと・・・・ですね・・・・・・・・。」

と二コルは不気味な笑みを浮かべながら
そう呟く。


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」


それを聞いて逃げられないことを知りつつも、
なにかやり過ごす方法はないか考える2人だった・・・・・。






そして、二コルの考えどうりに
アスランはその件を思いっきり

「え・・・・ああ、もういいんだ、それは・・また今度・・・」

と流してしまった。







しかし、アスランは
居る時は本当に幸せそうで、

以外のヴィサリウス・クルーにはほとんどが好きだとばれている。


・・・・・・・・・・まぁ、に近づくもの全員にアレだけの殺気を送っていれば
そうもなるが。






・・・という訳で、2人がくっつくのも本当に時間の問題・・・・・なのだが。






あの二コルが時間の問題・・・・・・で済ませてしまうわけが無い!!!!!!






ディアッカ、

イザーク、


彼らが平穏な日々を送るのは
まだまだ遠いらしい・・・・・・・・。













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                                      うわ・・・なんですかね・・・・これは・・・。
                                      続編書いてみたかったんですけども・・・
                                      なんか、話が突拍子・・・というか・・・。
                                      本当、微妙ですね・・・・・・・・・。
                                      
                                      書いていておもしろかったですけども。
                                      二コルは何故にあんなに黒いのか・・・
                                      白二コル・・・・かいてみたいですねぇ(遠い目)
 
                                           

                                               2005.5.9.   惶月 奏