お互いを心から愛しながらも、

二人を阻む、あまりに大きな

家柄という壁。


さあ、貴女ならどうする?





























どんな時代でも、
恋や愛は家柄・場所、関係なく発生する。


そしてこのアカデミー内にも
芽吹いた愛があった。






!」

青髪の美少年は愛しい少女の
名前を呼ぶ。

普段のクールな顔からは
予想もつかないほどの
笑顔を浮かべて。

そして、このお話での
ジュリエットであるは、
アスランを一瞥するやいなや・・・・


「・・・・・・・・・(げっ!無視しよう。)」


ユータンした。



「えっ・・・!?ちょっ・・・!!
照れているのかいっ!?アスランだよ!?」

そんな彼女の態度にアスランは
慌てたように彼女を追いかける。

しかし、アスランが速度を上げるたび、
彼女の速度も上がっていく。

「(わかっとるわ!だからじゃ、ぼけぇ!!)」

少女がそんな暴言を心の中で
叫んでいるとは夢にも思わないアスランは、

ふっと微笑を浮かべて
大声でセリフばったセリフを叫ぶ。


「あぁ!愛しの
どうして、君はこんなにも愛らしいのだろう!」

「・・・・・・・・・・・」

「それは君が君であるからに
他ならないのだけれど、どうして・・・」

が歩けば歩くほど、
ヒートアップする言葉のレベルに

は、耐え切れなくなり、
アスランのほうへと振り返り、
足早に近づいた。


「アーーースーーラーーーんーー!!!」

「あvやっと向いてくれたv」

凄い形相で怒鳴ってくる
なんて、なんのその。

アスランはの視界に入れた事を
単純に喜んだ。

その微笑と言ったら
10人中10人が悶絶するものであったが・・・。

は超例外に値するらしく・・・。


「あんた、いい加減にしなさいよ!?」

「何のこと?」

きーーーーーーーーーーー!!!

悪びれた様子もなく、
にこやかに応じるアスランに、

は心の中で地団太を踏んだ。


「いいっ!?私はちゃんと言ったわよね!?
貴方とはお付き合いできませんって!!!」

そうだ。

私は半端なことはしていない。

きちんと、きっぱりと
断った。

彼に告白された
2年前のその日にーーーーーー。


あれは、アカデミー入学式の時だ。




もちろん、アカデミーの大ホール
であったわけで。

物凄い人数が収容されていた。

その時、私が座っていた場所は
丁度窓際で、

窓の外には、
桜の花がふわふわと散ってきて、
その場は幻想的な風景が広がっていた。


私は、アカデミーの長官の説明など
当然、聞く気もなく。

外に降る桜に目を奪われていた。


そして、入学説明会終了時。



『あ、あのっ!すみませんっ!』

『え?』

会場を後にする私に、
アスランが話しかけてきたのだ。

もちろん、この時点での彼の
評価は悪くなかった。

だって、顔は女の子顔負けの端整な顔で・・・・
その上、性格もよさそうだったから。

私も普通の女の子だ。
当然だと思う。


さらに、あの頃は初々しさも
残っていて正直・・・・どきっともしちゃったりした。


『見てました・・・・よね?・・・・その・・桜。』

頬を少し紅潮させ、
外を指差す彼は、本当に可愛くて・・・

私は、にっこりと応じた。


『あ・・貴方も見ていたのですか。
はい。とても綺麗・・でしたよね。』

その私のセリフに
当時のアスランはさらに頬を紅潮させて・・・


『はい・・・・とても綺麗でした。
その・・桜でなく・・・貴女が。』

『!?』

そのセリフにときめかなかったか?
と聞かれれば、

100%嘘になるだろう。

まぁ、少々くさいな・・とは
思ったけど。

それでも彼はそんな気など起させないほど
そのセリフが似合っていたのだ。

『こんな事言って変に思われるかもしれないけど・・・
・・・・僕は貴女に恋に落ちました。』

『!?』

『僕とお付き合いしてもらえませんか?』

その時の私の驚きようったら、
マジやばいと思うわ!!

だって、今までの人生、普通に
平凡に歩いてきたのに、

こんな超絶美少年にいきなり
告白されるのよ!?

嬉しくなかった・・とは
言い切れないものであり。

『・・・・・・っ!?・・だ・・だって・・
名前・も・・・知らないのに・・・・?』

とか言いつつ、気持ちは
かーなーり傾いていた。

ってか、もう心では『おっけーですっvv付き合いますっっ!』
って感じだった。(この気の迷いは墓場までもって行きますが。)


しかし、この淡い乙女心は
次の瞬間砕け散るのだ。

『あ・・・すみません。そうですよね・・・
僕、アスラン・ザラって言います。』

『!?』

(な・・なんですとぉおおおおおおお!!!)

その時の衝撃といったらないわ!

アスラン・ザラといえば・・
物凄い御曹司であり・・・同時に、

ラクス・クラインの婚約者でもあったからだ。


この財政界の大物カップルは
一般ピーポーの私でさえ知っている事実であり・・・


『あ・・・あの・・・どうか・・しましたか?』

不思議そうに尋ねてくる
彼に私は、叫んでやった。


『・・・・っっっ!!お断りですっっ!!!
のーせんきゅーですっっ!!ってか・・・ふざけんじゃねーーーー!!』

バキッッ!!

と、アスランの超美麗な顔を
殴ったのは割愛してほしい過去である。







回想終了。




「あぁ・・確かに断られたなぁ・・・。」

まるで他人事というように、
アスランはぼんやりと呟く。

それに、ぴくっと
青筋を立てちゃったりするが、

とりあえず、話を前に進める。


「えぇ!そうでしょうとも!!
だから、もういい加減にしてくれる!?」

そんな息巻いたの主張も
なんのその。

アスランは、けろっとした
口調で応戦する。

「でも、それは俺の家とラクスが原因だろ?」

「・・・・・・・・・・」

「俺自身を見てって・・・前にも
言ったはずだけど?」

アスランのその主張には、
もきっと目を細める。

「そういう・・・自分本位な考え方が
気に食わないのよ。」


そうだ。

もし、彼がそう言っても、
事実は変わらない。

彼は、自分のことだから何とでも
いえるけど・・・

結果的に傷つけられて・・
大変な思いをするのは私のほうではないか。

家柄の差への落胆とか。

ラクスへの嫉妬とか。



・・・・解決もしてない癖に、
よく『関係ない』って顔できるわよね。



「確かに、あんたの家柄と婚約者が理由の一つよ。
当然じゃない。だけど、それを何とかしようと努力もしないで、
私に言い寄るあんたは・・・最低だわ、大嫌いよ。」

まっすぐ見詰めて
はっきりと言い放った

それを真面目な顔で
受け止めるアスラン。


そんな中、
の心の中はほこほこだった。


よしっ!!言ってやったぞ!!

これで、私が好きだとか言う気も
起きないでしょうよ!!

ちょっと良心が痛むくらい、
自分でもきつかったかなぁ・・・と思うもの!

だけど、これでこの男から
解放されるなら一害なくて、百利あり!よ!!



しかし・・・・・・・・・

にこっ

次の瞬間、アスランは満面の笑みを
浮かべた。

「さすが俺のだな。
惚れ直したよ。」


それに、は目を見開く。

(な・・・なによ・・、き・・効いてないの!?
何、こいつマゾな訳!?)

そして、ちょっと引いた。



「解った。家は捨てるよ。」

「ほへっ!?」

「まぁ、ラクスの方は、に出会った
時点で疎遠になってるけど、父上がうるさくて。
・・・・・まぁ、いいや。」

「あ、でも安心して?俺、貯金はあるし。
俺、優秀だから名前がなくても
就職先はいくらでもあるから。」

(なんの話っすかーーーーーーー!?)

おいおいおい。

なんだか、とんでもないトコまで
話が転んでいるように思えるのは
私だけですか!?


てか、墓穴掘っちゃった??


「ちょっ・・・ちょっと何言って・・・!」

「俺、が居ればそれでいいんだ。」

いやいやいやいや!!
綺麗に話をまとめようとしないで!!

顔がいいだけに、
そのセリフが決まるのも嫌だわ!!



「不安なのか?顔が青いぞ?」

ふっ・・

アスランはの頬へと
手を伸ばす。

「ひゃっ・・ちょ・・ちょっと・・・
違うって・・・」

必死に自分の頬に置かれている
手を引っ剥がそうとするが、

さすがは腐ってもエリート。
ぴくりともしない。



「大丈夫。俺、ロミオみたいに
馬鹿じゃないから。」

「いや・・・あの・・・・?」

「生きて幸せになろう。」

儚く微笑むアスラン。

それに、目を白黒させ、
顔を青くさせる


どうして・・・

どうして、ここまで勘違いできるの!!
この人は!!!

ってか、

ここまで横暴なロミオもいないだろうよ!!

だが、この男のことだ。

そんな私の気持ちも、頭のいいこいつは
とっくに気づいているのだろう。

それを踏まえて
この方向で行くつもりなのだ。


(・・・・・・・・・上等よ!!受けてたとうじゃない!!)


ばちばちばち・・・と
火花散る視線の衝突。



きっと、多分、

ここがアカデミーの食堂=公衆の面前
ということを忘れてしまっているには

勝算はごくわずかだと考えられる。








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普通に・・・

普通にカッコいいアスランが書きたいです。

この頃こんなんばっかですよ・・・(涙)

駄目だぁーー!!

このままじゃ駄目だぞ!自分!!




      2007/03/20
更新日  2007/07/15  惶月 奏(おうづきかなで)