令嬢と言われるほどの名家に生まれたのを
       後悔したのは星の数・・・・・

       だけども、今回はちょっとこの家に生まれてきた事を
       ラッキーだと思う。


       だって、この超絶美形な男の子と

       一ヶ月も同じ屋根の下で暮らせるのよ?


       それって女の子の夢よね〜vv

       ロマンよね〜vv

       ね?・・・少女マンガチックでしょう?

       
       まぁ、婚約は本気で破棄しますが?

       ちょっと、目の保養期間vvv・・・・・ってことで☆

        


















                ビター・オア・スイート?#2
 






















        「うわ・・・・・広・・・・・・・っ」

        と思わず私は感嘆の声を上げる。
        
        花嫁修業とくくられ婚約者と暮らす事になってしまったわけですが、
        そのいわゆる『二人暮らし』・・・に当てられた家は相当な広さを誇っていた。

        もちろん、本家ほどではないが、2人・・・となると本当に広すぎる。 


        さすが、ザラとの集合体!!!
        ・・・・と内心変なところで感心してしまう。


        「え・・・・・と・・・さん。」

        と家を呆然と見上げていた私にアスラン・ザラこと私の婚約者であり通称王子様は
        躊躇いがちに私に話しかけてくる。



        「えっ!?あ・・はいっ!何でしょう??」

        と私は少々上擦りつつ王子様のほうを向く。
 
        うわ〜やっぱ、美形な人だなぁ〜〜。
 
        本当、どこの童話集から舞い込んできた王子様ですかい?
        ・・・・って聞きたくなるほどの。



        「・・・・・・・・あの・・・・・・こんな事になってすみませんっ。」

        と王子様は私に向かって頭を下げる。
      
        ちょっ・・・ちょっとちょっとちょっと!!!!!
        王子様ッ!!!!!

        何の真似ですかっ!!!!
        貴方に悪役は似合いませんよ!?
        
        王子様は頭を下げられる役なんですよ?!

        まぁ・・・・悪代官役で
『近う寄れ』なぁんて役なら
        本気でときめきますが!!!
                


       
 ・・・・・・って、そうじゃなくて!!!!!!



        「えっ!ちょっ・・・王子様っ!!頭を上げてくださいよっ!!何なんですかっ!?」

        と私は慌てて王子様を起き上がらせる。




        「・・・・・いや、こんな事になったのは俺のせいだから・・・って王子様?

        と王子様はきょとんと私のほうを向く。

        うわー!!!王子様が私を見てるよッ!!!
        ・・・・・じゃなくて!!!思わずぽろっと心のあだ名を使ってしまった・・!!!
       
        いくら、婚約者じゃなくなる人だからって、変人扱いはまっぴらごめんっ!!!
        (一応、常識はありますんで!!!)

        あ〜・・・もう!私なんで心に思ったことが出ちゃうかなーッ!!!

        やっぱり、『アスラン・・・』でいこう・・・。不満だけども。



        「あっ、いえっ!!そんなこと言ってませんよ?幻聴ですか?アスランさんっ?
        ここって結構長閑なところで本当に妖精とか出てきそうな感じですものね〜」

        と必死で流れを戻そうとするが、

        「はっ??」

        と益々アスランの目は見開かれる。
        うわーいっvv
逆こ・う・か★

        ・・・・じゃなくて!!!!



        「あっ、いえっ!でっ?こうなったのは俺のせいとは・・どういう?」

        「あ・・・あぁ・・・本当に申し訳ない・・・。まさかこんな事になるなんて思っても見なくて・・・。」

        と王・・じゃなかった、アスランは申し訳なさそうに俯く。

        「ちょっ・・・アスランさん、よく分かりませんがご自分を責めないでください、だからもっと
        分かりやすく説明していただけます?」

        「あっ・・・・すみません・・・・。」

        とアスランは説明してない事に気づいてか頬を赤く染めて
        髪を掻き揚げる。






        もしかして、アスラン王子はへたれさん??

        それはそれは何だか意外なことで・・・・

        でも、まぁ可愛いから私的に大歓迎ですけど!!!!(何がだ)

        
        



       







       


         

        「つまり、アスランさんがアスランさんのお父様に婚約を破棄してほしい・・
        と頼んだからこんな事体になった・・・・・・・・・・・と?」

        と今までのアスランの話をまとめて私は確認する。

        「はい・・・。」   

        「で?」

        「はい?」

        「貴方の何処が悪いのですか?」

        とそう返す私にアスランはきょとんとした表情になる。
        

        「いや・・・あの・・・だから・・・・」

        「好きではない人とは婚約できないと言ったんでしょう?正しいと思いますが?」

        正しいって言うか、それが私的に男前の証拠ですよ!!!
        一途で真面目な性格大好きですvvv
        ・・・ってか私のツボなのね。
 

        「いや・・・でも、こんな事になったし・・・・」

        ・・・・それにそれは仮にも婚約者である彼女に言っていいような言葉ではない。
        『婚約を破棄したい』・・・・などと。
        

        「?・・・・・・・・・・なってよかったんじゃないですか?一ヵ月たてば婚約解消してくれるんだし。」
    
        と私は先ほどキッチンから拝借して淹れた紅茶を飲む。
        そんな私をアスランは呆然と見詰めた。

        まさか、こういう反応が返ってくるとはアスランは思わなかったのだ。
        家の令嬢は少し変わっている・・・と言う噂は聞いていたが
        失礼ながらも、納得してしまう。

        確かに、他のパーティーなどで飽きるほど見た『令嬢達』とは
        あきらかに毛色が違う。



        「・・・・・・・・・・・アスランさん?」

        「あっ、はいっ。」

        と失礼極まりない事を考えていたアスランはの呼びかけにびくっ
        と体を揺らす。


        「?・・・どうかしました?ぼーっとして・・・・」

        「いえっ!!何でもないです!!!!」

        と考えていた事が考えていた事なだけにアスランは首を勢いよく
        左右に振る。


        
        「?・・・・まぁ、いいですけど。・・で・・・アスランさん・・・モノは相談なんですが・・・。」
 
        とは神妙な面持ちでアスランへと向く、
        まるで、なにか重大な事でも言うように。

        そんなにアスランも顔を引き締め向く。

        「・・・なんでしょうか。」
        

        「・・・・・・お嬢様語止めてもよろしいでしょうか。」

        「・・・・・・・・・・・・はぃ?」

        アスランは目を丸くする。

        あまりに真剣な顔でこちらを見るものだから何かと思えば・・・・・・
        思わず聞き逃してしまう所だった・・・・・。
        


        「え・・・あの・・・・・」

        「私、本ッ当にお嬢様らしく・・とか苦手で!・・・まぁ、家の建前とかで人前に出るときは
        『らしく』しているつもりですけれど・・・・・でも、一ヶ月も一緒に暮らすんなら
        最初に断っておこうと思いまして・・・!!」

        とは一人で独走する。
        アスランが唖然としているのを
完璧無視して



        「あの・・・だめ・・・ですかね・・・・・・?」

        と一通りしゃべった後今更!?・・・と思うようなセリフをは吐く。

        
        (・・・・・これは噂以上だな・・・・・・)

        とアスランは切に思った。
        しかし、後々思い知る事になる。
        この少女は『噂以上』・・・・などと言う問題ではない・・・という事に。


  


        「・・・・・いえ、実は俺もそういうの苦手で・・・・・・」

        「まぁっvvそうですかっvvそれなら仲良くやっていけそうだねっvvv」

        とは嬉しそうにアスランの手を取る。
        微妙に『お嬢様語』と『素』・・が混ざっているが。


        「あっ・・・いえ・・・・はい・・・・・。」

        アスランは思わず赤くなる。
        はっきり言って自分は女の子に免疫がない。
 
        近づいてくる女の子はたくさんいるが、そういうのは避けまくってる為、
        こんな風に真正面から話すのは思えば初めてかもしれない。
        
        なんだか、苦手なのだ。
        ・・・話しても疲れるだけなようで。

        

        「じゃあ、アスランさんも素でどうぞ?・・・一ヶ月も一緒に暮らすんですから?」

        とはアスランを見上げて楽しそうに言う。
        

        「え・・・あぁ・・・・・・・・・・・って本当に暮らすのかっ!?」

        のその言葉に思わずぎょっとなる。
        もちろん、婚約は解消したかった。
       
        パーティーとかで会ったあんな令嬢のような女の子と婚約など
        本当に御免だったからだ。
        
        だが、一緒に暮らす事を条件に解消など、
        正直、受け入れる気はなかった。

        婚約もきついが、一緒に一ヶ月も・・・・などはありえない域に達する。

        だから今日ここに来たのはその婚約者にはっきり言っておこうと思ったからだ。

        だが・・・・・・・・・

        ここに来て大きく状況は変わった。


      
        最大の原因は紛れもなく、このだ。        





        「・・・今更何言ってんるんですか・・・・?解消したいんでしょう?」

        「いや、そうだが・・・・・」

        「じゃあ、がんばりましょう?一ヶ月・・・ね?」



        「・・・・・・・・・・」



        そういわれては、返す言葉がない。
        何故この少女はこんなにも平然としているのだろうか?
        男と二人暮らしだぞ!?
  
        普通、抵抗あるだろ・・・・・・。










        ・・・・・それでも。それでも、俺がここで頷いてしまったのは
        婚約を解消したいという、気持ちだけではないのだろう。

        単純に・・・・・・

        もっと知りたいと思ったんだ、目の前にいる少女の事を。










ビター・オア・スイート?♯2




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                              ・・・・・・・・・・・。
                              あぁ・・・おかしいよ・・・・・・。
                              なんか、壊れた話になってる・・・・・。
                              まだ2話目なのに・・・・話崩れるってどうよ!?

                              
爆走しすぎです、っていうか独走!?
                              なんだかどんどん、自分が解らなくなってきました。

  

                                            2005.5.28. 惶月 奏