同棲一日目の爽やかな朝。
都心から離れている屋敷の為
鳥の声や川の流れる音など、綺麗な音がする。
いつもの習慣で、いつもどうりコーヒーを
飲みながらアスランは新聞を読んでいた。
しかし、そのゆったりとした習慣さえも
この少女にかかればあっという間に壊れてしまうのだった。
ビター・オア・スイート?#3
「おはよう・・・・・・」
とかなり眠そうな声が後ろから聴こえる。
それは、俺の昨日からの同棲相手であり、婚約者である、少女・・・・・
・・・・・のものであるが・・・・・。
「あぁ・・・・おは・・・・・・・」
ぼとっ
その瞬間、読んでいた新聞を思わず落とす。
眠そうに、目を擦る婚約者。
・・・・・・それだけなら、問題はない。
だが、服装に問題があった。
まだ、起きたばかりで・・・・
見るからに朝は弱そうで・・・・・・
まぁ・・・・だから・・まだ寝巻き・・・というのは分かるよ?
だけど・・・・・
だけどさ・・・・・・
その寝ている間に肌蹴てしまったようなネグリジェは勘弁してくれ!!!
「・・・・アスランさん?どうしたの??」
と突如固まるアスランにはぼうとした頭で
ぼんやりとアスランを眺める。
そのぼーとした顔も今のアスランには危険なもので・・・・・
(頼むから俺が男だという自覚を持ってくれ・・・・・!!!)
とアスランは懇願するしかなかった。
思えばそうなのだ。
は極端にそういうのに疎い気がする。
昨日、平然と一緒に暮らす事を促すし・・・・・・ッ
いや、人の恋愛ごととかそういうのには、鋭そうだけど・・・・・、
自分のこととかになるとかなり疎そうだ。
現に、2人っきりしかいない家で、しかも男相手に(それに加えて婚約者!)
この格好というのは無防備すぎやしないか!?
いくら俺でも、この状況は不味い・・・・。
真面目だろうが、なんだろうが、れっきとした男なのだから。
もちろん、興味のない女の子に対して襲うとかはないが。
多少なりともこの少女には興味を持っているわけで・・・・・・・・。
「さん・・・・・。」
アスランは何とか落ち着かせようとコーヒーカップを握り締める。
「・・・・・その格好で出歩くのは・・・ちょっと・・・・・」
「・・・・・・・・・その格好?」
とは首を傾げながら自分の格好を見下ろす。
そして、納得したような顔になり、
「・・・あぁ・・・ネグリジェ・・・・・趣味悪いもんね。」
「は?」
「いや・・私だってあんまり好きじゃないのよ?だけどお母さんが可愛いもの
着せたがるんだよね・・・・荷物の中に寝巻きってこれしか入ってなくて・・・・」
と溜息混じりに言っている。
(違う!!激しく違う!!!!!!)
とアスランは彼女の言い分に脱力を覚えた。
「・・・・・・でも、やっぱりいつもどうりのがいいね。」
とネグリジェを眺めながらそんな事を呟く。
「・・・・いつもどうりって?」
「キャミに短パン。楽なんだよね〜vvv」
ガシャンッ!!!!
思わずコーヒカップを落とす。
(・・なっ・・・・なっ・・・・)
何だって!?
「ちょっ・・・!?アスランさんっ!?・・・あ・・大丈夫・・割れてないよ。」
と足元に転がってきたコーヒーカップを拾い上げほっとしたように呟く。
(なにが大丈夫なんだ!!!)
・・・・とアスランは泣きたくなった。
・・・・・・・・・本当・・・先が思いやられる・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・さってと。アスランさん?朝食はもう食べました?」
と着替えを終えてきたはテーブルで新聞を読みながら何かを必死で
考えているアスランにそう切り出す。
(・・・・・・・・なんっつーか・・・新聞読んでる姿も様になってる・・・・・。)
朝から、この王子様顔負けの美形君を拝めるなんて
本当にこの一ヶ月って私にとってかなり良かったかもvvvv
(・・・・・でも・・寝起き見たかったな・・・パジャマから覗く鎖骨とか・・・きゃぁっ///)
起きたら既にきちっと着替えていたアスランを恨めしく見詰めながら
はマニアックな事を考えていた。
まぁ、一ヶ月もあるし?
機会があれば即実行って事でvvvv
・・・・・アスラン!!狙われています!!!!
「え・・・?あぁ・・・まぁ・・・・・・」
アスランは新聞から目を離し(本当はへの対策法を考えていたが)
そう答える。
ふとキッチンを見ると洗った食器がキチンと並べられていた。
(・・・・うわぁ・・・マメだな・・・・・。)
と呆れ半分に感心しつつも・・・・
だけど、結婚して家事を手伝わない人じゃないみたいだし・・・vv
アスランさんvv私マジ好みですvv
とアンチ亭主関白派なはアスランに熱い視線を送る。
「え・・・あ・・・・なにか?」
「いえv素敵な人だなと思いましてvvv」
とあまりにはっきりとした物言いにアスランは頬を赤くする。
・・・・・いやんv超可愛いvvv
私、こんな息子がいたらぁvv
ぜってーマザコンに育てて、『お母さんをお嫁さんにしてあげるvv』
・・・って言わせたいなぁvvv
やばい!!本当に欲しくなってきた!!!
大事に育てますから、アスランさん!!クローン作ってもいいですか!?
とか言う妄想は置いといて!!!!!
「・・・・・あ・・・でもトーストしか食べてないですよね?」
と使われた形跡のない電気コンロや新品の調味料を見てはキッチンの中から
アスランに呼びかける。
「え?・・・・あぁ・・・」
「そっか。・・・今から朝食作るけど食べます?」
「え・・・・!?」
なによ?その意外そうな顔は?
お嬢だからって料理が出来ないとでも?
「アスランさん・・・・?なにその驚きようは。」
「え・・・っいや・・・・!!」
とアスランはから視線を逸らす。
十中八九失礼な事思ってたな・・・・・・・。
「他のお嬢様たちと一緒にされちゃあ困るわねっ!!料理は得意なのよ!?
ちょっと待ってなさい!今から実証するから!!!!」
とは高らかに宣言し、キッチンへ走りこむ。
「・・・・・・いや・・・他のお嬢様達とは全く一緒に出来ないから・・・・・・」
とアスランは呆然と呟き。ふっと口元を抑えて笑った。
「いや・・・・・あのね?・・・料理は・・・得意なのよ・・・・?本当よ?」
必死で弁解する・・・・。
その視線の先には形の崩れたオムレツとコンソメスープ、サラダが
テーブルの上に並べられていた。
「いや・・・本当に・・・これは・・・ちょっと手が滑って・・ね?」
「いや。わかったから。食べていい?」
とオムレツが形崩れたことに延々と弁解を続けるに
アスランはやや苦情気味にそれを止める。
「・・・・・・・・・・はい。どうぞ。」
「いただきます。」
とアスランはに向かって挨拶し、
形の崩れたオムレツをフォークですくう。
「・・・・・・どう?」
は恐る恐るアスランを覗き込む。
思えば、誰かに料理を作ったのは初めてで、いつも自分しか
試食してない為、本当においしいかなんて分からないのだ。
あぁ〜こんなことなら是が非でもみんなに食べさせとくんだった・・・・!!
とは激しく後悔した。
「うん・・・・・。」
「うん?」
アスランを覗き込む視線が心配そうな色を強める。
『うん』ってなに?
『うん』ってどんな意味あったっけ??
『うん』ってどんな意味ですか!?
日本語なんてひとつの言葉に意味ありすぎなんじゃあーーー!!!
とか、言葉にケチを付けはじめるだった。
「・・・・そんなに心配しなくても・・おいしいよ?」
とアスランはあまりのの顔に笑いながらそう言う。
「本当?」
「本当。味も俺好みだし、焼き具合もばっちりだし。本当においしい。」
「・・・・・よかったぁ・・・・。」
とその言葉を聴いてはやっと緊迫した表情を崩す。
その様子にアスランは
(可愛いなぁ・・・・・・)
とかしみじみと思い、次の瞬間、
(・・・・・・ってなに思ってんだよ!!)
と顔を真っ赤にし、慌ててコンソメスープを流し込む。
「?」
はその様子にハテナマークを浮かべるも
有頂天で上機嫌だったのであえて、言及はしなかった。
「じゃあさ、じゃあさっ!」
「何?」
「私、アスランさんの為にもっとおいしいご飯作れるようになるね!!」
と満面の笑みで言う。
カシャンッ
「!!」
アスランはフォークをテーブルの上に落として
そのまま停止する。
・・・・・・・・・・それを一般的には『殺し文句』・・・という。
そして、ばっちり、それを受けてしまった少年アスラン・ザラ。
そして、それを無意識に言ってしまう恐るべき少女・。
・・・・・・・・・・・どう考えても、この一ヶ月・・・・・・・・・
波乱なしでは終わらないだろう。
ビター・オア・スイート?#3
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・・・・・・あははは・・・
なんかこのノリ・・・・ハロゥインを思い出します・・。
でもアスラン白いですよね!?
よしっ!白い!!
このままがんばりますよ!!!
多分、あと何話かでザラ化するような気も
しますけども・・・・・・(おい)
2005.5.30. 惶月 奏(おうづきかなで)