・・・・・・確かに、
大人しいとはいえないし、
破天荒な行動も多かったと思うし
パーティなんか出来る限り最大限に出席しなかったし、
どこぞの令嬢様のごとく振舞えなかったわよ?
でもね?
だからって、
これはあんまりだと思うの。
仮にも大切な愛娘をよ?
婚約者と言えども・・・・・・・・
会ったこともない男と暮らさせるなんて!!!!
ビター・オア・スイート?#1
「・・・・・・・・・・」
私はぽつんと立ったまま
一点を睨み続ける。
その視線の先には
1つの家・・・・・・・
いや、屋敷と言った方がいいだろうか、
なかなか洒落た庭付きの洋館が建っている。
は憤りのない怒りに包まれていた。
(・・・・・・・・・・・なんで・・・私が・・・・・・っ)
そう繰り返し繰り返しは思うが
現状はひとつも変わらない。
事の始まりは本日の何の変哲もない朝。
母の第一言目から始まった。
「、用意して!!!」
ガラァァァァ
母の良く通る声と共にカーテンが開けられ
朝のまぶしい光が窓から差し込んでくる。
その光には顔を顰めながらも
目を擦りつつゆっくりと起き上がる。
「かぁ・・・・・さん?・・・・用意って?」
とまだ完全に覚めない体をやっとこっと起こす。
しかし、次に来た言葉はそんな眠気など問題視しないほど
強烈的な言葉だった。
「そりゃあ、花嫁修業よ。」
とお母さんは私の服や生活用品を鞄につめながら淡々と言う。
へ〜・・・・・
花嫁修業かぁ・・・・・・・
誰が・・・?
・・・・・・・・・・・・って花嫁修業!?!?????
がばっ!!!!
「ちょっ・・・・・お母さんっ!!!花嫁修業って!!!!!!」
は血相を変えて起き上がる。
ちょっと、まってよ!!そんなの聞いてないわ!!!!
「ほら、早くこれに着替えて。もう迎えの車が来ちゃうわよ。」
と我がマイ・マザーは私の言う事など耳にかさず私に服を押し付ける。
「え・・・・ちょっ・・・・!!!!」
という訳で超強制的に車に乗せられこの貧相な田舎に連れてこられました。
もちろん、田舎暮らしって悪いとは思わない。
むしろ都会でせわしく生きるよりも田舎とかでのんびりと生きる方が
私にはあってる・・・・・・。
だけども!!!
帰る手立てがないというのは問題よ!!!
はっきり言ってここが何処なのかもわからない。
なんか、見た限り山だし、畑だし、川だし!!!!!
交通機関というものが見当たらない・・・・・。
これは絶対に帰れなくする為に仕組まれたもの・・というのは
一目瞭然で・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「くっっそぉぉおおおおおおう!!!!!!!!」
とマジで令嬢とは思えない叫び声が山々に木霊する。
「・・・・・・・・・・・・・え・・・・と・・・・・・・・・・・・さん?」
と後ろから遠慮がちに聞いてくる声・・・・・。
「え?」
はこんな所に友達なんていたっけ・・・・・?
とか思いつつ振りかえる。
しかし、よく考えてみればすぐに解る事だった。
こんな初見の地で友達など居るはずもなく、
名前を知っている人・・・・といえば・・・・
親同士が勝手に決めた婚約者でしかないと言う事が。
私は決めていた。
婚約者と名のつくものが出来た時・・・・
絶対に第一投目は不機嫌な睨みつけを食らわせてやると。
しかし、その決意はその瞬間泡となった。
振り返ったとき、そこに居たのは
青い少し長めの髪と、澄んだ引き込まれそうな碧眼の
少しきつめの顔立ちだが、かなりの整った顔立ちの男の子。
それにくわえて白い肌にすらりとした長身。
はっきり言って私が今まで会った中でぶっちぎりで一位を獲得するような
美形君が立っていた。
その瞬間、はっきり言って時間がとまったね!!!
何々??妖精様?天使様?それともどっかの宮殿からトリップした王子様ですかーーー!?
「・・・・・あの?・・・・さん?」
と表情が停止してしまった私に対してその超絶美少年が少々困ったような顔をする。
(うわー王子様が私に話しかけてるぅーーーーーーー☆)
というのは置いといて。
心の中でこの人のことを王子様と呼ばせていただこう・・・・・・・
とか変な決意をしつつ、私はその王子様と向き合う。
「あっ!はい。・です!!・・・・・って貴方は?」
「え・・・・・と・・・・アスラン・ザラ・・・・・・・です。」
とその少年は躊躇いがちに俯きながらそう呟く。
(へぇー!!アスラン・ザラかぁ〜〜〜なんか名前もかっこいいね!!!)
「え・・・あ、はい。アスランさん、えー・・・・・とどちら様ですかね?」
もしかして、マジに王子様ッ!?
と今思えばかなり私は間抜けな質問を繰り出した。
「へっ!?」
とその王子様・・・・・もといアスランさんは拍子抜けた顔と声を発する。
「や・・・・あの・・・・もしかして俺の事・・・・・知らない?」
その人は眉をやや寄せながら聞いてくる。
私の記憶の限りでは知り合いに王子様はいないですねー残念ながら。
はこくんと頷く。
その瞬間その王子様は
「はぁーーーーーーー、嘘だろ・・・・・。」
とその場に座り込む。
何だか苦悩しているらしく、なにかぶつぶつ言っている。
「あのぅ・・・・・・・・?」
「婚約者だよ。」
「へっ!?」
「婚約者。君の。」
と王子様はそんな事を淡々と発する。
「婚約者・・・・・って・・・・・・・!」
私はその言葉に目を見張る。
えー何々!?
この王子様が私の婚約者!?
どこぞの御曹子・・・・とか言ってたからもっと
なよっとしたうざぁい、だらしない男だと思ってたのに・・・・。
うそだぁ・・・・・。
こりゃあ・・・・どうすればいい訳?
喜ぶべき?
悲しむべき?
・・・・・・・・・・ってちがぁうッ!!!!
違うぞ!!私!!!!!
決めてたじゃない!!私!!
婚約者と会ったら絶対に婚約なんて直談判で破棄させてやるんだ!!
・・・・・って。
たとえ、相手が王子様だろうが、美少年様だろうが、
それは変わらないわ!!!(ちょっともったいないですけども)
だいたい、親の言いなりになって
結婚するヤツなんてだぁぁいっきらいだわ!!!!
「・・・・・・さん?」
と急に黙り込んでしまった私に王子様・・・・
いや、こんな顔は良くても好きでもない相手と婚約できるヤツは
王子様なんかじゃないわっ!!!!
おまえなんて、『アスラン』で十分だ!!!!!(失礼極まりない)
パサッ
不意にその王・・・・じゃなくて、アスランが一通の手紙を
私に差し出す。
「へっ?」
「これ、君のお母さんから。なんか普通に話したら聞かないから・・・って。」
アスランはそう言付けと共に私に封筒をわたす。
私はその封筒を受け取り早速ガサガサっと音を立てて手紙を取り出す。
(え・・・・・と?何何?)
『 でぃあ・。
どう?かっこいいでしょう? 』
がくっ!!!
私は2行読んだだけでこけそうになった。
お母様!!!!なんですか!!この初っ端からの文面は!!!!
『 結構いい感じでしょう?もう・・・若い頃のお父さんに負けず劣らずで・・・・』
それはアリエナイデス。・・・・・ここは読み飛ばそう。
『 まぁ・・・・・という訳で、その婚約者と1ヶ月過ごして欲しいのよ。
2人っきりでね。ほら、は頑なに嫌がったけれども、もしかしたら
共に過ごしている間に愛情が沸いてくるかも・・・・でしょう? 』
・・・・・・・・・・・。
『 もし、沸かなかったときは婚約は破棄して構わないわ。 』
・・・・!!!
え・・・嘘!?いいんだ!!!
『 なんだかね?貴方だけじゃなくて、
アスランさんも婚約を破棄したがってるらしいのよ・・・・・
親同士としては、是非結婚して欲しかったんだけどね・・・・・・・ 』
え・・・?アスランも破棄したがってんの??
嫌だ!じゃあ、嫌う理由ないじゃん!!
やっぱり、心の呼び名は王子様でいこう!!!!!
『 というわけで、一ヶ月がんばってねvvvv
あっ、そうそう。
一ヶ月間、どちらか一方が逃げ出したり、一緒に住まなかったりしたら
強制的にその場で結婚させますから。あしからず。 』
という言葉で締めくくられていた。
今更ながらだけれど・・・・・本当・・おかしいよね・・・・うちのお母さん。
でも、破棄できるってことが分かっただけでもよしとしよう!!!
よっしゃあ!!!!
あと残り30日、・の名に掛けて乗り切ってやりますわ!!!!!!!
ビター・オア・スイート?♯1
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あー・・・・えーーと、アスラン連載です。
これもパラレルです。
一度婚約者モノをかいてみたかったんですけど
なんか、これも設定と違う方向に
向かって爆走中です。1話目から。
よろしければ最後までお付き合いくださいねvv
(行き着けるのかはわかりませんが)
2005.5.20. 惶月 奏