深深と、夜が過ぎていく。
今宵は満月で、不思議な感じがする夜だった。
だが、この浮きまくった洋館には
何故かぴたっとくるのだ。
ビター・オア・スイート?#26
二人は、先程のちょっとした喧嘩など
まるで嘘のように、仲良くソファーに座っていた。
「ねぇ、アスラン、交代ごうたいに質問たぁーいむっっ
といきませんか?」
はアスランに真顔で、詰め寄る。
それにアスランは一瞬きょとんとなるが、
ふっと笑って・・・・
「結婚前にあまぁ〜いらぶらぶムードを作る為にか?」
と先程のカナデのセリフを引用する。
それには眉を潜めるが・・・・
(いい加減、大人になんないとね。)
と、自制をかける。
・・・・というか、いちいち反応するから黒バージョンに
なるのであって・・・・
少しは、学習しますよ、幾ら私でも。
「そうよ。駄目?」
は素直に首を傾ける。
それに、アスランは少々驚きながらも、
なかなか素直でよろしい。との頭をなで、
「いいよ。じゃあ・・・どっちからにする?」
「あっ!じゃあ私から!・・アスランは家事分担タイプ?
それとも亭主関白?」
としょっぱなからリアルな質問を振る。
もともと現実主義な彼女だ、
仕方のない事だろう。
しかし、彼もまた・・真面目なので・・・
「そりゃぁ、分担だよ。・・・・・仕事あるから、いつもって
訳にはいかないだろうけどさ・・・。」
と真面目に答える。
「そうだよねぇ〜・・・。あっ!それじゃあ・・・・」
「、次は俺の番だろ?」
まだ自分が質問しようとするに
くすくす笑いながらそう訂正する。
そう言う辺り、アスランもに
質問したいらしい。
「あっ、そっか。じゃぁ、どうぞ?」
「・・・・・・は子供は何人くらいほしい?」
そんなアスランの質問には苦笑する。
「・・・欲しいかどうかじゃなくて、何人なんだ?」
そんな、の反応にアスランは訝しげに・・・
いや、少々複雑な顔になる。
「・・・・・もしかして、、子供は作らない気・・・
だったりする?」
「えっ?いやぁね!そんな訳無いじゃない!
子供は欲しいよ。経済状況が傾かないくらい。」
「ザラ家と家の財政が・・・か?」
「それは無理ね。」
と自分とだんな様の家の状況を考える。
どう考えたって、ちょっとやそっとじゃあ
傾かない。
両家とも、優に五万人を超える従業員を雇っているのだから。
「そっか・・・だけど、よかった・・・が
子供作る気でいてくれて・・・・」
ぼそっとアスランはそう胸を撫で下ろす。
「何?そんなに子供が欲しいの?」
「欲しいよ。との子供だぞ?絶対に可愛い。」
「・・・・・もう、親馬鹿発言ですか。」
気の早すぎるアスランの発言には
やや呆れる。
「・・・悪いか?」
「別に?そういうアスランも見てて面白いから、楽しそう。」
「・・・・・・・・・・・」
その発言に、アスランは複雑な気分になった。
なんだか、自分が子供みたいだなぁ・・と。
ボーンボーンボーンボーン・・・・・・・・
中央の間にある大時計の音が12回鳴り響く。
それは夜中の十二時を現していて・・・・
それと同時に、『もうそろそろ寝ないといけませんよ』合図だ。
もちろん、これが普通の日ならば
そんな事は思わないだろうが、
なんせ、明日は人生の一大イベント、
結婚式なのだから・・・・・・・・・・・・・
しかし、アスランはその時計の音を
何ともいえないキモチで聞いていた。
アスランだって、もうそろそろ寝室に移動
しないといけないという事は解っている。
だが・・・・・
(なんか・・・言いにくいって言うか・・・・違う事を
考えちゃうっていうか・・・・)
未も蓋もない事を言うと、いやらしい事・・・だ。
別に、アスランだって考えたいわけじゃない。
・・・・・だけど、俺だって18歳の健康男児なわけですから。
しかも、目も前には愛しい愛しい愛しい・・・・(中略)彼女。
しかも、明日には結婚式。
しかも、二人っきり。
しかも、親からは了解を取っている。
(・・・・これだけの条件が揃ってるんだぞ!?
・・・・これで、考えるな・・・・という方が無理だ・・・。)
と、もんもんとドツボにはまっていく
アスランだったが・・・・
「アスラン、もうそろそろ寝ようか?」
けろっとして、そう言って
テレビや暖房の電気を消していく。
それをなんだか、ほっとしたような・・・
残念なような気分で見詰めるアスラン。
安心したのも本心だが、
期待していたのも本心で・・・・・・・・・・・
そこまで思考がまわると
アスランは間が悪そうに顔を顰めた。
なんだか、情けなくて、許せないのだ。
こんなに純粋なを前にして
自分はなにを思っているのだろう・・・と。
もちろん、男女差・・・がかなりあるというのは
自分だってわかっている・・・・・だけど・・・・・・・・・・
落ち込んでいくアスランだったが・・・
はアスランが思っているほど純粋ではなかった。
(だいたい純粋だったら、アスランをからかわないだろう。)
そして、彼女は悩んでいる彼に向かって
一言、満面の笑みで言うのだ。
「アスラン、私もアスランの部屋で寝ていいよね?」
・・・・・と。
ビター・オア・スイート?#26
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私も一緒に寝たいなぁ・・・。
(痛いですかね?←痛いだろ)
なんだか・・・これ・・どうしましょうね・・・
もう・・・・。
2006.1.17 惶月 奏(おうづきかなで)