同棲が始まって、やっとこっと
この少女の思考回路に慣れてきたかな・・・
と思った頃・・・・・。
やはり、その見解は甘かった。
・・・・・・・と実感した。
彼女は想像以上の人だ。
・・・・・・・・・・・あらゆる意味で。
ビター・オア・スイート?#5
「アスラン。ちょっと質問!」
「何?」
と2人仲良くこの屋敷の中に設置されている図書室で
読書を楽しんでいた矢先、彼女が話しかけてきた。
そういうシュチュエーションはこれまでも結構あって、
素朴な相手に関する疑問を唐突に考え付いてはそれについて
答える・・・・
というように、俺達の間でその受け答えは習慣化していた。
たまには、俺から質問する事もあって、
・・・・・・・本当によくここまで『女の子』と仲良くなれたな・・・・
とつくづく思う。
まぁ、それは彼女だから・・・・だろうけれども。
「アスランってさ?受け?攻め?」
ぼとっ!!!!
もし、なにか飲み物を飲んでいたら絶対に吐いていただろう。
・・・今回は本を落とすだけで終わったが。
「・・・・アスランって、本当よく物を落とすよね・・・・・。」
とくすくす笑いながら彼女は本を拾い、『はい』と俺に渡してくる。
いや・・・・といる時だけなんだけどな・・・・。
とか喉まで出かかったけれどあえて言わなかった。
しかし・・・・なにを言いだすんだっ!?急にっ!!!!
いや、この場合、タイミングの問題じゃない。
話題自体が問題だ。
・・・・・・・だって・・あれだろ?
受け・・・攻め・・・・・ってその・・・つまり・・・・。
「・・・・・・・・・・・・俺・・・・・男なんだけど?」
とやっとこっとそう言葉にする。
言っておくが、いくら女顔だからと言って
男になんて興味はない。
しかし、そんなこと聞いてくるほうも聞いてくるほうだ。
「はぁ?知ってるよ、そんな事。だからね?アスランって恋愛に対して
積極的?それとも消極的?・・・・みたいな意味なんだけど?」
とは眉を寄せながら俺を見る。
「・・・・・・・・・・・ッ!!!」
自分の勘違いに気がついた俺は思わず口元を手で覆う。
つまり、の言っていた『受け』『攻め』は、そういう危うい世界の
用語でなく、只単に、恋愛に対して、『受け止め型?攻め型?』
・・・・ということだったらしい・・・・・。
(・・・〜〜〜っ!!何考えてるんだよっ!俺・・・ッ!!!!!)
それを自覚すると、顔が赤くなるのが自分でも分かった。
だけど、仕方ないだろっ!?
社交界とかであまりに女性に興味を示さないものだから
一部のザラ家をねたむ奴らがそう噂しているのを耳にしたことがあるのだ。
『ザラ家のご子息はどうやら、そっち系に興味があるらしい』
・・・と。
もちろん、アホか・・・と相手にしてなかったが、
『受け・攻め』・・・と聞いてそちらを連想してしまうあたり・・・・・・
(・・・やっぱり、どこかで引っかかってたんだろうな・・・・。)
と苦い感情が押し寄せてくる。
「・・・アスラン?」
急に黙った俺を不信に思ったのかは眉を顰めて
俺を見ている。
「えっ・・あ・・・・・あぁ・・・そうだな・・・・・消極的・・・・な方かな。」
「ふぅん。やっぱそうなんだぁ。うんうんそんな感じ〜」
とはくすくす笑いながらそう言い残して、再度本に視線を
戻して、読み始めた。
「・・・・・・・・・・でも、なんで急に?」
「ん〜?何となく。」
は本に視線を向けたままそう返事する。
・・・何となくであんな語弊のある言い方をしないでくれ・・・・!!!
と思うのは致し方のないことだろう。
「・・・・・じゃあ、は?」
「ん?」
「は消極的?積極的?」
「・・・・・・・・・・・・・」
俺がそう言うと、は本から視線を離して、驚いたように
俺のほうをじっと見詰めてくる。
?・・・・俺、何か変なこと言ったか・・・・?
「・・・・・?」
「えっ!・・・・あっ・・・あぁ・・・・ごめん、いやぁ・・・・微妙に驚いちゃって。」
「驚く?」
「そ。だってアスランが恋愛系の話を継続させるのって初めてじゃない?」
とは尚も驚いたような顔で・・・それでもやっぱり笑っている。
・・・確かに、今まで、からそういう恋愛系の話を振られて
答えはするけれど、そこから、聞き返す・・・なんてことは一度もなかった。
だけど、それは興味がないわけでなく、ただ単に恥ずかしかったというか、
聞くに聞けなかった・・・というか・・・・・
もちろん、本当はのそういう話聞きたかったし、知りたいとも思ってたけど・・・・
って!・・・何だよっ!それっ!!聞きたかったって・・・・・・っ!!
本来なら、物凄く苦手分野で、答えることさえ苦痛なのに、
からなら、すんなり答えられて(質問によるけども)
そりゃあ・・どもりはするが苦痛ではない。
それどころか、俺の事聞かれるの嫌じゃなくて・・・
というか、俺の事知ってくれる・・・みたいで嬉しくて・・・・。
それよりも、自分から彼女の事を本当は知りたい・・とか思うなんて・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・アスランって・・・百面相だよね・・・・。
と目の前のアスランを観察しながらは思う。
薄々気づいてはいたけれど、アスランはかなり思ったことが
顔に出る。
クールそうなのに意外だよなぁ・・・・・・。
まぁ・・・・それもアスラン王子のいい所ですv
「えっ・・とねぇ・・・・私・・・も消極的なほうかなぁ・・・・」
「えっ!?」
私の言葉にアスランは目を見開く。
・・・何なんですか、そう反応。
「何?・・・・そんなに意外?」
私は目を半眼にしてアスランを見詰める。
なぁんか、その驚きようは失礼だぞ?
・・・・こうみえて純情少女なのよ?私。
「いっ・・・・・いや・・・・っそんなことは・・・・っ」
とアスランは慌てて否定を入れるけども
やはり、顔でばれてるよ、アスラン王子・・・・。
「・・・まぁ・・・そうだね・・・・少し大人しい方じゃないからね、私。」
はそう呟きながらうんうんと一人頷く。
(・・・・・少し?)
・・・・とアスランは思ってしまったがあえて口に出すようなまねはしない。
顔に出てはいるが。
「・・・まぁ・・その時にならないと分からないって事!」
とそのアスランの表情に気づいたはそう言葉で締めくくり
再度、本を広げて読み始める。
「・・・・・・・・・・・」
少しの間、呆然とを眺めていたアスランだったが、
本に視線を戻しかけたそのとき・・・・・
「ねぇ?アスラン・・・・そういえばさ・・・・・・」
とまた、の質問タイムが始まる。
これにはさすがのアスランも我慢しきれず笑い出した。
「ちょっ・・・・アスラァン?よく解んないけど人の顔見て笑うのはどうかしらぁ?」
「あ・・・っごめん・・・っつ・・・くくく」
何かのツボに入ったらしく、アスランの笑いが止まる気配はない。
「・・・・・・」
「・・・ごめっ・・・・で・・・・何?」
「・・・・・・・・・・・・・・アスランはさ?学校とかどうしてるの?」
と今までの話と百八十度変わって話し始める。
これも、良くあること・・・・で。
でも最初は戸惑ったなぁ・・・・・と彼女に対して耐久性が出来た自分を
アスランは褒めてやりたいと思った。
「結構、気になってたんだよね。」
とはアスランの方を向く。
ここに来て、早くも何日か過ぎたが、この少年が出かけること・・と言ったら
散歩と、ちょっとした買い物くらいなのだ。
地図を見て分かった事だが、ここから都心までかなり離れていて
多分、ここに来てから、実家には帰ってないはずだ。
・・・・というか四六時中一緒にいるからそれはないだろう。
・・・・しかし、それって、よく考えるとおかしくないか?
今現在の時期はばっりばりの平日であり、
(もう少しで夏休みだけども)
こぉんなところに普通なら居られる訳がない。
私は、自慢ではないが、いわゆる家の力・・と言うヤツだ。
私の通っている学園はグループの経営で・・・・
つまり、私の父の会社の傘下のものの経営で、
一ヶ月ほど休学しているのだ。
・・・・いや、強制だったけどねっ!!
・・・・・・・・・・・・アスランも同じなのかしら?
「え・・・・?あぁ・・・俺はもう卒業している」
「は?・・・・アスランって・・・もしかして、20代後半なの・・・!?」
人は見かけによらないわね・・・・。
私と同じ高校生か、いってても大学生くらいだと思ってたのに・・・
もちろん?私は年の差とか気にしませんよvアスランならvvv
(聞いていない)
ぱこんっ
アスランが持っていた本で軽く私の頭を叩く。
「・・・・・・・なわけないだろ・・まだ18だ。」
・・・・だよねぇ?
「じゃあ・・・学校は?」
ザラ家のご子息が行っていないわけがないし・・・・・。
「卒業した。」
「はぁ?」
「留学してたからな、スキップ制度で単位を取ったんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・あったまいいのねぇ・・・・・・」
「・・・嫌味に聞こえるぞ。」
「嫌味で言ってます。」
「こら。」
ぱこん
とまた本で叩かれる。
「そっかぁ・・・じゃあ今何してるのよ?」
「家の手伝い。」
「・・・・・・そう。」
『家の手伝い』・・・とアスランは軽く言い放ったが、
ザラ家は、この国最大の企業だ、きっと話を聞くだけで気が遠くなるような
仕事をこなしているのだろう・・・・。
・・・みるからに優秀だもんなぁ・・・・・・。
「まぁ・・今は休止中だけど」
「なんで?」
「ここに半強制的にこらされた時、一ヶ月間は何もしなくて、婚約者のことだけ
考えてろ・・・・・って。」
「あはは・・・・。婚約破棄したいなんて言うからよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・そんなに欲しいのかな、次の跡継ぎ・・・ってか孫・・・・。」
とアスランは溜息混じりにそう呟く。
しかし、次の瞬間・・・・・・・・
(・・・って何言ってんだよ!?俺ッ!!この状況で孫だなんて・・・・ッ!!
それって、婚約者と・・・つまりとだけど・・・っ速球に子供作るみたいな・・・ッ・
・・ってうあああああ!!!・・・・ちょっ待てッ!!
俺の思考回路ストップ!!!)
と勝手に進行していく妄想をアスランは必死で止める。
・・・なんだろう・・・・本当この頃、俺妄想激しいぞ・・・・・。
(の影響ですvvv)
そんな事を思いながらも
アスランははっと気づく。
今、彼女は目の前にいるのだ・・・・という事を。
アスランは恐る恐る、を見る。
もちろんあの言葉をスルーしてくれている事を祈って。
だが、この少女は残念ながらそこまで鈍くはない。
「・・・・・・孫?」
「・・・・ッ!!!!!!!!!!」
アスランは思わず後ずさる。
顔を真っ赤にさせて。
今や彼の鼓動は早鐘だ。
恥ずかしくて、
もう、後悔の嵐で、
が俺の考えてしまったことに勘付いてしまったら・・・・・・・
でも、
・・・・何故か、ちょっぴし何かを期待している自分がいて・・・・・・・?
「・・・・アスランのこどもかぁ・・・・・・きっと可愛いんだろうねぇ・・・・・・」
とはうっとりと呟く。
その際には、ザラ家のメイドになって教育係になろうかしら・・・?
そして、めざせぇっ!!ざ☆光源氏ぷろじぇくとっ!!!!
の脳内で、メイドと坊ちゃんvvの切なくも甘いラブストーリーが
最大速度で繰り広げられる。
「・・・・・?」
「アスランッ!!絶対に子供が生まれたら呼んでねッvv私教育係になるから!!!」
とはアスランの手をがしっとにぎる。
「・・・・・・・・・・・・・・へ?」
どうやら、アスランが心配していた事体は避けられたらしい・・・・
さすがはこの少女の思考回路・・・・とでも言うのか・・・・。
だが・・・・・・
(それって・・俺と違う女との子の事言ってるんだよな・・・・)
とアスランはどんどん自分の中にどろどろした感情が
沸き起こってくるのを感じた。
(・・・・何か、非常に気分が悪い・・・っ・・何ていうかムカつく・・・・。
もっと・・・違う反応あるだろ・・・・・っなんで俺が他の女なんかと・・・・・っ!!!)
とアスランは眉を顰める。
俺は、と、その子供の画像が広がって・・・・
本当・・は・・・あぁ・・いいな・・とかおもってたのに!!!!
とアスランは眉を寄せながら、乱暴に本に視線をもどす。
この感情の正体に彼が気がつくのは、そう遠くもない未来。
さぁ?どうなるでしょうね?
ビター・オア・スイート?#5
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この連載は別名『2人の妄想爆走物語』
ですねvv
はははは・・・・・・・いや、笑い事ではないのですけど。
いや、本当に。
惶月 奏(おうづきかなで)