アスランが
実はモーホーだとか、男色家だとかは
結構、もうどうでもいいのよ!(いいのか)
ていうか、勝手にやってろ?
って感じだし!
だけど、男に負けるなんて
大人しい私でも我慢の限界があるわ!!
ブロッサム。
―第3話
じぃーーーーーーーーっ
この嫌な雰囲気をどうしてくれよう・・・
あの腹黒男め・・・っ!!
あの後、私と謎の美少年の威嚇の応酬に、
アスランが慌ててその少年を連れ出し、
どこかへ消えた。
そんなこんなで、彼らなしでHRはいつもどうり
行われているのだが・・・・。
私への好奇と憐れみの目が
痛すぎる・・・!!
何?
ナンですか?
『彼氏を男に奪われた哀れな女』
にでも見えるってか!?
冗談じゃないわ!!!
それもこれも、
あの馬鹿アスランのせいなんだから!!!
あそこで私をほったらかして、
少年の手を握り締めて去るかっ!?
まるで、結婚式場から
浮気相手と逃げるみたいに!!
確かに・・確かに・・・
アスランとはなんでもないわよ!?
むしろ・・・むしろ迷惑してるわよ!?
だけどねぇっ!!
私の面子とか立場を
考えてくれてもいいんじゃない!?
一応、私に迫ってんだろうがよっ!?
もう・・あれだっ!!
アスランとなんて・・・・
アスランとなんて・・・・・・・
今後一切
口聞いてやらないんだから!!
もうこれ以上アスランに
振り回されるのは御免だわ!!
と、そんなこんなで
四時間目終了。
彼らは帰ってこなかった。
そんな二人に、一部の女子は
色めき立っている。
『二人は、学校を抜け出して
デート中v』だとか。
『実は、恋人だったけど、小さいときに
離れ離れになって、今感動の対面中v』だとか。
『お互いを見詰め合っていて
時間も解らなくなってるのよv』だとか。
『生徒会室でピーーーじゃない?』だとか。
(勘弁してくれ!!)
しかし、昼休みになった途端、
帰ってきたのだった。
アスラン一人で。
そして、彼は当然のように
皆の好奇の目を無視し、
私の元へとやってくる。
「、悪かったな。
実は・・・・・・・・・」
ぷいっ
はアスランが言い終わらないうちに
顔を背け、弁当を持って席を立つ。
それはアスランも少々
想像していたらしく、
焦る様子もなく、
の腕を掴む。
「、気持ちは解るけど・・・
少しは俺の言い分だって聞いてくれ。」
プ チ ン
その瞬間、の堪忍袋の
緒が切れた。
(なんて自分勝手なんだ・・・・!!)
バシッッ
は勢い良くアスランの
手を振り払い・・・
「触らないで!!!」
「!」
びくっっ
アスランはからの初めての
怒声に思わず、目を見張り体を震わす。
そのの様子には、
クラス中がしー・・・んとなる。
しかし、当のは切れちゃっているので、
据わった目のままアスランを見詰める。
「今後一切話しかけないで。」
「・・・・・・・・・・・・っ」
その拒絶のセリフは、アスランを
一時的に再起不能にさせるには
十分だった。
「聞いてくださいよ!
マジでありえないと思いません!?」
「あ・・・あぁ・・・まぁ・・・」
「あいつマジで男色家じゃないんですか!?」
「え!?いや・・・それは・・・・・」
「はっ!もしかしてここに来ていたのも
会長狙いなのかも!!」
「ぶっっ!!!な・・気色の悪い事を
言うなっっっ!!!!」
今まで、たじたじになりながら
聞いていたイザークも
その発言には、
全身全霊を持って否定する。
「ですけど、酷いと思いません!?
私がいいさらし者ですよ!」
「いや・・まぁ・・・な・・・・」
「なぁにが”少しは俺の言い分も聞け”よ!!
ムーーーーカーーーーツーーーーークーーーーーーーッ!!!」
ばし!!ばし!!ばし!!
は、屋上の床に
頭をつけ、拳を何度も床へと振り下ろす。
「・・・いや・・・・落ち着け?・・・なっ!」
いつもはなだめられる側の
イザークがなだめる側に回るほど、
はご乱心だった。
「ほらっ!!この弁当全部やるから・・・
なっ!?」
イザークは最後の手段とばかりに
重箱をへと押し出す。
それには、ぴく・・・っと
は動かなくなり・・・・・
むくっ
と起き上がった。
そして・・・
にっ
「ご馳走になりますっ。」
とお礼を述べて
ちゃっかり受け取るに
イザークは「はーーーー」と
安堵と呆れの入った溜息を吐くが、
にっこりしながら
重箱を開けるを見て、
無性に嬉しくなったのも
本当で。
「あ、そうだ。会長。」
「ん?」
海老シュウマイを頬張りながら
イザークを見上げてくるに
(間抜け顔・・・)
と思いつつ、応答する。
「中央・・通りの・・新しいケーキショップ
って解ります?」
「ケーキショップ?」
「はい。なんか・・・会員制の
・・・らしくて・・・。」
「会員制・・・?・・・あぁ、確かエルスマン家の
傘下の店だな。」
「えるすまん家?」
中々、ややこしい言葉に
は眉を潜める。
「ぁーーー・・・一種の財閥なんだけどな。
色々無節操にビジネス展開していて・・・けっこう有名だぞ?」
「はぁ。私・・・全然新聞とか読まなくて・・・」
(そういう問題じゃないと思うぞ?)
と思いつつ、これ以上彼女の
ご乱心の被害を受けたくないイザークは
もちろん、言わない。
「で?・・・その店がどうしたんだ?」
「会長は・・入れます?」
「は?」
「だ・・だって会員制だとか言うじゃないですか!
お金持ちの御用達なら・・・会長は・・・・と思いまして。」
「まぁ・・・入れない事はない。」
がしぃっ!!!
「!?」
突如握られた手に
イザークは水色の瞳を見開く。
「な・・・・・・・・・・っ」
そして、イザークを見詰める真摯な
瞳に頬が赤くなる。
「・・・っ・・?」
「会長!・・・そこに連れて行ってください・・・!」
「はぁ!?」
「もちろん奢ります!」
「いや・・・あの・・・なっ!?」
「1000円以内でお願いします!!」
「・・・・・・・・・・・」
舞い上がった自分が
妙に悲しかったイザークだった。
ねくすとすとぉりぃっ→
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2007/02/26
更新日 2007/08/17 惶月 奏(おうづきかなで)