もうアスラン・ザラなんて
知らないわ。

私のキャンパスライフが
滅茶苦茶になったのも

あいつの気まぐれのせいだし!


もう縁を来世の分まで
切りに切ってやるわ!!


私は、甘くて平凡な
恋をするんだから!!











ム。
             ―第4話











中世のイギリスのような外観。

中もアンティークショップのようで、
どこまでも高級感かつ異国感が漂っている。

さすが会員制と言った所か、
来ているお客もセレブリティな人々だった。



「ほぁーーーーーーー。」

はひたすら
変な声を発する。

ぽっかーーーんとして
アホ顔で。


「・・・・・・・・、解ったから・・
その顔やめろ。」

「うぉっ?」

ぼけっと振り返る
にイザークは溜息を吐く。

「俺は、ジュール家の子息なんだ。
連れが間抜け顔だと困る。」


「・・・すんません。」



は肩をすくめつつ、
メニューを開ける。


すると・・・・・・・・・・


「・・・・・・・・た・・・たっか・・・・」

はメニューに記載されている
あまりの額の違いに、

目をぱちくりさせる。

とてもではないけれど・・・・
払えねぇ・・・・!

しかし、奢るといった手前・・・


(もういいっっ!大フンパツだ!!!)

と密かに腹を括った瞬間・・・・



「プッ」

「へ?」

目の前で急に吹きだした
イザークにはメニューから顔を上げる。



「か・・・会長?」

「クククッ・・・心配するな。
ここは俺が奢る。」

「え゙!?」

心の中を見透かされたような
は目を見開く。

「顔に出てたぞ?」

そのセリフにぱっと
は、メニューで顔を隠した。



「で・・・ですが・・奢ると言った手前・・・っ」

そうだ。

自分から誘って我侭で
つれてきてもらったのだ。

そこまで、甘えられない。


「遠慮するな。最初からそのつもりだった。
だいたい1000円以内なんて無理だろう。」

「うっ・・・・」

「それに、女に奢ってもらう
趣味はない。」


(さいですか・・・・。)

は、ただ、ただ頷くしかない。

確かに、会長は
亭主関白的なところがある。

いや、というか・・・・見かけによらず、
男気溢れているのだ。

外見は女の子以上の
べっぴんさんなのに・・・・。



「で、ですが、さすが会長ですね!
制服でこんなとこ入れてもらえちゃうなんて!」

そう、もう・・・あれだ。


『会員ではないんだが・・・』と会長が
言っても、

受付の人が恐縮して『そんな!滅相も
ございません!!どうぞ!!』だもん。

何?顔パスっすか?
みたいな。


だって・・・
制服で・だよ!?

めっちゃ高校生じゃん!!

セレブリティなドレス着てたら
誰でも通しちゃうだろうけどさ。



「まぁな。ジュール家とエルスマン家は
友好的でな。」

会長はなんでもないように、
出されたミルクティーを飲みながら
優雅に言う。

(ドリンクは、一般の店でいう水みたいな
サービスだって!ありえねぇ!)

「そこの息子とも・・・友・・・いや、
ちょっとした知り合いでな。」

「・・へぇ〜!」

やっぱりお坊ちゃんにはお坊ちゃんとの
リンクがあるんだなぁ・・・と

私は感心したように相槌を打ったが・・・


「ちょっとした知り合いぃ?それはないんじゃない?」

「「!?」」


二人の会話に突如入ってきた
青年のほうに二人は目を向ける。


「ディアッカ・・・・」

そうイザークに名前を
呟やかれた青年は

にこやかに笑っている。

金髪に色黒。
個性的だが、端正な顔をしている。

ラフな服装はしているが、

背筋がぴんと伸びており、
育ちのよさが伺える。

イザークと
面白そうに見ていた彼だったが、

「今日は、お嬢さん。
当店へようこそ。」

そう言うと、に向かい、
おじきをした。

「え?お店の方ですか?」

それにしちゃぁ・・・
ラフすぎる。

どちらかというと、彼は
客側の風貌だ。


「エルスマンの子息だ。」

「えっ!?」

イザークの冷静極まりない
一言には目を見開く。


「ディアッカ・エルスマン。
よろしく、チャン?」

「・・・なんで・・私の名前・・・?」

「さっきからイザークが連発して
たからなぁ。」

面白くて仕方がないと
言った言葉にイザークの眉間に皺がよる。


「なにが言いたい?」

「いやぁ〜・・あのイザークが
女の子とデートだなんて・・なぁ〜・・・」

「うるさい!さっさと散れ!!」

ディアッカの挑戦的な言い回しに
今までクールだったイザークが怒鳴る。

それに、ディアッカは肩をすくめ、
立ち去る素振りをした。

「わーってますって。ったく・・・電話してきてまで場所聞いてくるから、
わざわざ出向いてやったってのに・・・・」

ぶつぶつとまだ言い募る
ディアッカに、イザークは鋭い眼光を飛ばす。

ディアッカはそんなイザークに
顔を引き攣らせ、

のほうへと顔を向ける。


「ま。こんなヤツだけど仲良くしてやってよ。
お礼といっちゃなんだけどさ、ここタダでいいから。」

「え゙っ!?いや、いいですっっ!!
悪いですし!!」

「フン!こいつに気を使う事はない。」

「えぇ!?会長!?」

”誰の施しも受けない”的なイザークの
あまりのセリフには目を見張る。

しかし、一方のディアッカは
「くくっ」と笑うばかりだ。


「じゃ、そういうことで。」

と彼はどこまでも
爽やかに去っていった。

ウェイターに何か言っていた所を見ると、

本当にタダにしてくれるらしい・・・。


「・・・・彼は一体なんの目的で
いらしたのでしょうか・・・。」

は呆然と呟く。

見たところ、彼はここに用が
あった風でもない。


「・・・どうせ、俺をからかいにきたんだ。
どこまでも悪趣味なヤツだ。」

拗ねたように言うイザークに
は思わず吹きだした。

彼は学校ではどこまでも
一匹狼だ。

もちろん、周りの生徒は彼に憧れている。
だが、彼には人を寄せ付けないオーラがあり・・・

そんな彼が、こんな風に彼のことを語るのだ。

なんとも可愛らしい。

私は関係ないけれど、
とても嬉しくなった。


「素敵なお友達ですね。」

の呟いたセリフが
気恥ずかしかったのか、

イザークは腹いせに
沢山オーダーしていた。

しかも高いものばかり。


そんなイザークにはこみ上げてくる笑いを
止めることができなかった。


そんなほのぼの雰囲気が
漂っていた。


だから・・・

だから、は気づく事ができなかった
のかもしれない。

カランカラン・・・

と玄関から二人の少年が入ってきた事を。


そして・・・・・・・



「・・・・・・?」

「!?・・・・あ・・・アスラン・・・・!」


それが、アスランと
波乱の転校生だという事に。






       ねくすとすとぉりぃっ→


*******************************



・・・・・これってイザーク夢だったっけ?

てほどにイザークとの絡みが多く、

イザーク夢よりもイザークが
輝いております。

駄目じゃん。私。






         2007/02/26
更新日    2007/09/27 惶月 奏(おうづきかなで)